年間の相続税の課税対象件数は116,341件。それに対して、税理士の登録人数は78,028人。
つまり税理士一人の相続税の取扱件数は、年間で2件にも満たないのです。
では、どういった税理士が相続税に詳しいのでしょうか?
現実には、大手税理士法人や相続税専門の税理士事務所がほとんどの相続税の対策・申告を行っており、一般の「一通り何でもできます」という事務所は、数年 に1件、「相続税が少しかかったので申告した」という程度しか経験がありません。一般の税理士事務所も、知識としては「ある」ので、相続対策・申告を「できる」と言いますが、そういう方に依頼した結果「多額の税金を払う羽目になった」という痛い失敗をすることになります。
自分で探そうにも、税理士事務所のホームページを見ただけではどこの事務所が「得意」なのかはわかりません。当エージェントでは、パートナー税理士全員と面談 しており、相続税の実務経歴も全て確認しておりますので、相続についてのご相談は、本当に相続を得意としている人だけをご紹介致します。
相続税の申告について、税理士報酬と納税額のバランスを考えることが大事です。
相続税に関しては、事前の対策も含め、相続税申告作業の中心となる財産評価の考え方にかなりの幅があるため、税理士の知識、経験、ノウハウの差が納税額に大きく影響します。そのため、例えば税理士報酬が10万円安いからという理由でお願いしたら、納税額が100万円以上多かったなどという話もよく聞きます。
事例として、小規模宅地等の特例というものがあり、要件を満たした場合に最大80%の評価減の特例を受けられるものです。
例えば、対象土地(相続税評価1億円と仮定)が80%の評価減を受けられる場合に、この特例の適用をしなかったら、本来であれば2,000万円の部分にしか課税されないものが、1億円に対して課税されることとなります。
仮に、税率が40%とした場合、3,200万円余分な税金を払わなければならないことになります。
小規模宅地等の特例については、非常に有名なものなので、知らない税理士はほとんどいません(たまにいるようです)が、2010年の税制改正によって適用 基準が変わっていても、勉強していない税理士であれば知らずに従前の条件のまま申請し、適用を受けられない可能性もあります。勉強していない税理士の見分け方は、質問したときに自信のなさそうな態度を取ったり、ひどい例では怒り出しますので、すぐにわかると思います。
土地の評価については前例のように税法に様々な特例があり、同じ土地であっても、ある税理士は5億円と評価し、別の税理士は2億円と評価する、というぐらい差がつきます。
知っているかどうかによって評価が変わってくる例としましては「広大地」というものがあります。広大地とは、その地域における標準的な宅地の地積に 比して著しく地積が広大な宅地で、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるものをいいます。
広大地と判定されれば、例えば、地積が1,000㎡だとしたら補正率は0.55となり、それだけ評価額が下がります。しかし税務当局の広大地としての判定は厳しく、税理士としては知っていても適用することに二の足を踏む方も多いようです。
土地の評価減には様々なものがありますが、税理士の経験値によって「適用できるのに適用していない」という話もよく聞きます。
相続に強い税理士は、経験豊富であるとともに、不動産鑑定士等といった各種専門家とも連携していますので、お客様としては総合的なサポートを受けることが可能です。
税理士としては、土地の評価業務に自信がなければ、自らの保身のために高い評価をつけ、ミスとは言わなくても、結果的に納税額が大きくなる、ということもあります。
税務署は、税理士が資産を高く評価しても、納税額が大きくなるだけなので指摘はしません。
また、国税庁の発表している「相続税の申告事績(平成19年分)及び調査事績(平成19事務年度分)」によりますと、平成19年度の相続税の申告件 数が46,661件に対して税務調査の件数は13,845件、申告漏れとされたのが11,884件、つまり税務調査が入る確率は約30%で、そのうちの約 85%が追徴課税されています。これらの理由から、どんな税理士に依頼するかによってその後の流れ・納税額にとても大きな差が出ます。