-
税理士紹介のプロ!
エージェントによるコラム -
知りたくても聞けなかった
他社の事例 -
ご相談分野
-
確定申告の依頼を
ご希望の方 -
相続税・贈与税に強い
税理士をお探しの方 -
実績・成功事例
-
税理士を探すのが
難しい理由とは? -
当エージェントの
強み -
当エージェントの
体制とメリット -
税理士費用について
-
よくある質問
-
全国の税務署・
商工会議所・
税理士会一覧 -
全国・都道府県別
税理士検索
相続税申告
公開日:2015/04/16 更新日:2023/03/03
暦年課税と相続時精算課税を知って相続で損をしない
贈与が発生した際、納税者となるのは贈与を受け取った相手方であり贈与を与えた当事者ではないと言うこと、ご存知でしたか?こうした贈与は民法によって規定されており、贈与時に「課税される財産」と「課税されない財産」とに分類できることを知っておくことが大切です。
課税対象として扱われる財産は、個人からもらった財産に限られており、原則として「年間110万円」を超えた場合に贈与税を支払う義務になっています。一方で課税されない財産もあり、これには法人から受け取った贈与(所得税として扱われる)や、扶養義務者から得た生活費や教育費、公益を目的とする事業を行う人が取得した財産など11種類が決められています。そのため課税される財産を受け取った受贈者で「年間110万円」以上の贈与を受けた場合には、贈与税を支払う義務が発生するのです。
この贈与税の申告・納税の方法は、財産を受け取った翌年の2月1日から3月15日までに税務署で手続きをする必要があります。ただし、この納税額は課税方式によって異なるため、「暦年課税」と「相続時精算課税」について知っておく必要があります。
暦年課税と相続時精算課税、2つの違いは何か?
財産を受け取った時に納める贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」があり、どちらを採用するかによって納税額が変わります。そのため、それぞれの課税方式について説明していきます。
1年間の贈与に課税する「暦年課税」
贈与税の課税方式として一般的に採用されるものが「暦年課税」となっています。この方式は1年間(その年の1月1日から12月31日まで)に譲り受けた財産の合計価格が110万円を超えていた場合に課税するものです。より詳しく説明すると、110万円までは基礎控除額が設定されており、200万円以下なら10%、300万円以下なら15%と6段階の相続税率が決まっています。
ただし平成27年以降は、「一般贈与財産用(一般税率)」と「特例贈与財産用(特例税率)」とに区別され、贈与税を計算することになります。一般税率は特例税率に該当しないもので、例えば夫婦間・親子間・兄弟間の贈与などが適用されます。そして、特例税率には20歳以上の子・孫(直系卑属)に贈与する場合に適用されます。それぞれの違いは課税対象の区分が異なり、10%~55%の贈与税率が定められています。そのため、これからの贈与税は、この区分に従って計算していくことになるのです。
一生の非課税枠が決まっている「相続時精算課税」
平成15年に創設された「相続時精算課税」は、贈与税と相続税を通じた納税が出来る制度で、非課税枠2500万円と大きい点が魅力的になっています。そのため、ある特定の人物から2500万円を受け取るのであれば、「相続時精算課税」を選択したほうが良いのです。また、相続の場合には「相続税から贈与税を差し引いた額を納税する」ことになるので、相続税の先払いと言う考え方もできます。ただし、一般的には制度自体が複雑であったり、節税効果が見られないために選択する人が少ないのが現状です。
また、「相続時精算課税」を適用する条件としては、「贈与者が60歳以上の祖父母・親であり、受贈者が20歳以上の子・孫(直系卑属)」に限られています。そして、一度「相続時精算課税」を選択したら、「暦年課税」に変更することが出来ません。そのため、この贈与者・受贈者間の贈与と相続は一生にわたって「相続時精算課税」によって管理されることになるので注意が必要となっています。
2つの課税制度を使った時の贈与税額の違いは?
「暦年課税」と「相続時精算課税」、それぞれを使った時の相続税額の違いはどうなっているのでしょうか?様々なケースを見ながら、見比べていきます。なお、「暦年課税」は平成27年から使われる一般税率を採用し、「相続時精算課税」では一度も受け取っていないこととします。
- ケース1)平成27年に親から子へ100万円を贈与
暦年課税 : 納税額 = 贈与額100万円 - 基礎控除額100万円 = 0円
相続時精算課税 : 納税額 = 贈与額100万円 - 非課税枠100万円分 = 0円
- ケース2)平成28年に親から子へ200万円を贈与
暦年課税 : 納税額 = (贈与額200万円 - 基礎控除額110万円) × 10% = 9万円
相続時精算課税 : 納税額 = 贈与額200万円 - 非課税枠200万円分 = 0円(累計300万円)
- ケース3)平成30年に親から子へ3,000万円を贈与
暦年課税 : 納税額 = (贈与額3,000万円 - 基礎控除額110万円) × 50% - 250万円 = 1,195万円
相続時精算課税 : 納税額 = (贈与額3,000万円 - 非課税枠2200万円分) × 20% = 160万円(累計3,300万円)
- ケース4)平成31年に親から子へ100万円を贈与
暦年課税 : 納税額 = 贈与額100万円 - 基礎控除額100万円 = 0円
相続時精算課税 : 納税額 = (贈与額100万円 - 非課税枠0万円分) × 20% = 20万円
このように「暦年課税」では基礎控除額110万円を超えれば、ケース2や3のように納税の義務が生まれ、逆にケース1や4のように越えなければ納税の義務がないのです。また、「相続時精算課税」であれば、ケース1や2のように非課税枠内であれば納税の義務はないのです。ただし、ケース4のように「暦年課税」では納税の義務がない時でも、非課税枠を超えていれば「相続時精算課税」では支払わなければならないのです。