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不動産の相続
公開日:2021/05/27 更新日:2023/05/26
小規模宅地等の特例とは?要件や減額例と注意点をわかりやすく解説
小規模宅地等の特例は、相続税額を大幅に減額できる可能性がある特例です。ただし、適用するには複雑な要件を満たさなければなりません。この記事では、小規模宅地等の特例の概要と適用の要件などを解説しています。また、押さえておきたい注意点やよくある質問も掲載しています。相続税額を抑えたいと考えている方、この特例を適用可能か気になる方はは、ぜひ確認しておきましょう。
小規模宅地等の特例とは?
相続に関係する重要な特例として「小規模宅地等の特例」があげられます。具体的に、どのような特例なのでしょうか。
小規模宅地等の特例の概要
小規模宅地等の特例は、被相続人の居住や事業などに用いられていた土地を、一定の要件を満たす相続人が相続した場合、相続税の計算に用いる土地の評価額を50%または80%減額できる特例です。
被相続人の居住や事業などに用いていた土地に高額の相続税を課すと、相続人が居住や事業のための土地を失ってしまう恐れがあるので、これに対処するために設けられました。
特例を適用する場合の登記のタイミング
小規模宅地等の特例を受けられるのは、申告期限までに遺産分割協議が終了している場合です(申告期限から3年以内に遺産分割協議が整った場合は適用可)。相続税の申告期限についてはこちらの記事で詳しく解説しているので参考にしてください。
遺産が未分割の場合は、一定の条件を満たしても小規模宅地等の特例を適用できません。したがって、不動産登記のタイミングは、遺産分割協議が整って自分の取り分が確定してから相続税の申告期限までです。遺産分割協議についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
特定事業用宅地等などの他の区分と併用が可能
小規模宅地等には「特定居住用宅地等」「特定事業用宅地等」「貸付事業用宅地等」などの区分があります。前述の通り区分に応じて、限度面積と減額割合が定められています。また、小規模宅地等の特例は併用が可能です。詳細については、「小規模宅地等の特例における限度面積・減額率の計算」で詳しく解説します。
二次相続の対策で押さえたい特例適用のポイント
配偶者から財産を引き継いだ父または母が亡くなったときに発生する相続を二次相続といいます。配偶者の税額軽減を適用できないうえ、相続人が減少するため、二次相続は相続税が高額になりがちです。二次相続の相続税は、小規模宅地の特例を子供に適用することで軽減できる可能性があります。詳しくは「二次相続で損をしないための節税ポイントと一次相続との違いを解説」を参考にしてください。
小規模宅地等の特例の対象となる3つの土地と要件
小規模宅地等の特例の対象になる土地は、事業用に使われていた土地、居住していた土地、他人に貸していた土地に分かれます。それぞれの概要と要件は次の通りです。
1.事業用に使われていた土地(特定事業用宅地等)
対象となる土地
特定事業用宅地等に該当するのは次のいずれかに該当する土地です。
- 被相続人の事業に使われていた土地
- 被相続人と生計が同じだった親族の事業に使われていた土地
例えば、亡くなった父(被相続人)が営むレストランに使われていた土地、他には、亡くなった父(被相続人)と亡くなった父と同一生計の妻(親族)が営む雑貨店に使われていた土地などが該当します。
特定同族会社事業用宅地等
また、被相続人が経営する会社(一定の法人)の事業に使用されていた土地で被相続人の親族が相続などで取得した土地を特定同族会社事業用宅地等といいます。特定同族会社事業用宅地等も小規模宅地等の特例を適用できます。土地を引き継いだ親族は、相続税の申告期限にその法人の役員であること、その土地を相続税の申告期限まで所有していることを求められます。
適用するための要件
特定事業用宅地等の適用要件は、対象となる土地で異なります。被相続人の事業に使われていた土地は、事業を引き継いだ親族が土地を取得し、相続税の申告期限まで事業を継続し土地を所有しなければなりません。
被相続人と生計が同じだった親族の事業に使われていた土地は、事業を営む親族が土地を取得し、相続税の申告期限まで事業を継続し土地を所有する必要があります。ただし、いずれの土地も相続開始3年以内に事業を開始している場合は、小規模宅地等の特例を適用できません。
2.居住していた土地(特定居住用宅地等)
対象となる土地
特定居住用宅地等に該当するのは次の土地です。
- 被相続人が居住していた土地
- 被相続人と同一生計の親族が居住していた土地
ここでいう被相続人と同一生計の親族は、生計は同一で被相続人と別居していた親族です。被相続人が所有していたアパートで仕送りを受けながら生活していた子などが考えられます。
適用するための要件
適用要件は、対象となる土地と土地を相続した人で異なります。
被相続人が居住していた土地
まずは、被相続人が居住していた土地の要件を、土地を相続した人別にまとめます。
土地を取得した人 | 要件 |
配偶者(内縁関係は対象外) | ・所有・居住とも要件なし |
被相続人と同居していた親族 | ・相続税の申告期限まで土地を所有し居住し続ける |
家なき子 | ・被相続人に配偶者・同居の親族がいない・相続税の申告期限まで土地を所有している※上記両方を満たす必要があります。 |
世帯を分離している場合も、相続が発生した時点で親子が同居していれば小規模宅地等の特例を適用できます。家なき子については、以下で説明します。
家なき子とは
配偶者も被相続人と同居していた親族もいない場合、家なき子が所得した土地に小規模宅地の特例を適用できます。家なき子は、相続開始前3年以内に、自己・自己の配偶者・自己の3親等内の親族、自己と特別の関係にある法人が所有する家屋に住んでいないなどを満たす相続人です。
例えば田舎に一人で住んでいる独身の叔父が亡くなった場合、相続人がその叔父が住んでいた土地を取得した場合「家なき子」となります。
被相続人と同一生計の親族が居住していた土地
続いて、被相続人と同一生計の親族が居住していた土地の要件を、土地を相続した人別にまとめます。
土地を相続した人 | 要件 |
配偶者(内縁関係は対象外) | 所有・居住とも要件なし |
被相続人と同一生計の親族 | 相続税の申告期限まで土地を所有し居住し続ける |
ここでのポイントは、配偶者は、用件なし(その土地に居住していなくとも)でも、特例が適用できるということです。
ちなみに、駐車場を整備する場合、コンクリートやブロックなどの構造物を設置すると貸付事業用宅地等に該当するため50%の評価減が認められます。貸付事業用宅地等の要件は非常に複雑です。基本的に生前対策として相続前に対策する事が求められますが、亡くなってからの相続開始後に対策する事が可能かどうかは別途個別事象となりますので、専門的な知識がない場合は税理士に相談しましょう。
3.貸付事業用宅地等(他人に貸していた土地)
対象となる土地
貸付事業用宅地等に該当するのは次のいずれかに該当する土地です。
- 被相続人などの貸付事業(不動産貸付業・駐車場業・自転車駐車場業および準事業)に用いられていた土地
- 一定の法人に貸し付けてその法人の貸付事業を除く事業に用いられていた土地
- 一定の法人に貸し付けられてその法人の貸付事業に用いられていた土地
例えば、被相続人が営んでいた賃貸アパートの土地などが該当します。一定の法人とは、相続が始まる直前において被相続人などが発行株式総数の50%超を有する法人です。
このような法人の貸付事業以外の事業に用いられていた土地あるいは貸付事業に用いられていた土地も対象になります。
適用するための要件
貸付事業用宅地等の要件は、対象となる土地で異なります。
土地の区分 | 要件 |
被相続人の貸付事業に用いられていた土地 | ・被相続人の親族が相続などで取得し、その貸付事業を相続税の申告期限までに引き継ぎ、相続税の申告期限まで継続している。・また、その土地を相続税の申告期限まで保有している。 |
被相続人と同一生計の親族が貸付事業に用いていた土地 | ・被相続人の親族が相続などで土地を取得し、相続開始前から相続税の申告期限まで貸付事業を継続している。・また、その土地を相続税の申告期限まで保有している。 |
ただし、相続開始前3年以内に貸し付けた土地は、貸付事業用宅地等に該当しません(事業的規模であれば適用可)ので注意が必要です。
また事業継承等に関する詳しい知識をお持ちでない場合は、事業的規模かどうかの判断をすることが難しいため、税理士へのご相談を検討しましょう。
小規模宅地等の特例における限度面積・減額率の計算
小規模宅地等の特例を適用することで減額される金額は、基本的に次の計算式で求められます。
減額金額=宅地の評価額×限度面積※注/総地積×減額割合
※地積が上限
ケース別に減額金額を計算します。
1.事業用に使われていた土地(特定事業用宅地等)の場合
特定事業用宅地等の限度面積と減額割合は次の通りです。
- 定事業用宅地等の限度面積:400㎡
- 特定事業用宅地等の減額割合:80%
参考に、以下の条件で減額金額を求めます。
- 土地の評価額:8,000万円
- 地積:500㎡
【減額金額の計算】
8,000万円×400㎡/500㎡×80%=5,120万円
相続税の課税価格は次のようになります。
8,000万円-5,120万円=2,880万円
以上のケースで、小規模宅地等の特例を適用すると、相続税の課税価格は2,880万円に減額されます。
2.居住していた土地(特定居住用宅地等)の場合
特定居住用宅地等の限度面積と減額割合は次の通りです。
- 限度面積:330㎡
- 減額割合:80%
参考に、以下の条件で減額金額を求めます。
- 土地の評価額:5,000万円
- 地積:400㎡
【減額金額の計算】
5,000万円×330㎡/400㎡×80%=3,300万円
以上のケースで、小規模宅地等の特例を適用すると、相続税の課税価格は1,700万円に減額されます。
相続税の基礎控除も適用できるため、他に相続財産がなければ相続税は課税されません。相続税の基礎控除は、課税価格の合計から差し引けるものです。以下の計算式で求めます。
・3,000万円+600万円×法定相続人の数
参考にここまで用いた条件で、小規模宅地等の特例を適用しない場合と適用する場合における相続税課税の有無を求めます。法定相続人の人数は3人、他に相続財産はないものとします。
【小規模宅地等の特例を適用しない場合】
- 土地の評価額:5,000万円
- 課税価格の合計:5,000万円
- 相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 課税遺産総額:5,000万円-4,800万円=200万円
(※課税遺産総額は課税価格の合計から基礎控除を減じたもの。相続税額を算出するために用いる。)
小規模宅地等の特例を適用しない場合は、課税遺産総額200万円に対して相続税を課されます。
では、小規模宅地の特例を適用するとどうなるのでしょうか。
【小規模宅地等の特例を適用する場合】
- 土地の評価額:5,000万円
- 土地の減額金額:3,300万円
- 課税価格の合計:1,700万円
- 相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 課税遺産総額:1,700万円-4,800万円=-3,100万円
課税価格の合計が基礎控除額を下回るため、小規模宅地の特例を適用すると相続税は課されません(相続税の申告は必要です)。
3.貸付事業用宅地等(他人に貸していた土地)の場合
貸付事業用宅地等の限度面積と減額割合は以下の通りです。
- 限度面積:200㎡
- 減額割合:50%
次の条件で、減額金額を算出します。
- 土地の評価額:6,000万円
- 地積:300㎡
【減額金額の計算】
6,000万円×200㎡/300㎡×50%=4,500万円
以上のケースで、小規模宅地等の特例を適用すると、相続税の課税金額は1,500万円になります。
参考に、ここまで用いてきた条件で、小規模宅地等の特例を適用しない場合と適用する場合における相続税課税の有無を求めます。法定相続人は2人、他に相続財産はないものとします。前述の通り、基礎控除の計算式は以下の通りです。
・3,000万円+600万円×法定相続人の数
小規模宅地等の特例を適用しない場合は次のようになります。
【小規模宅地等の特例を適用しない場合】
- 土地の評価額:6,000万円
- 課税価格の合計:6,000万円
- 相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
- 課税遺産総額=6,000万円-4,200万円=1,800万円
(※課税遺産総額は課税価格の合計から基礎控除を減じたもの。相続税額を算出するために用いる。)
小規模宅地等の特例を適用しない場合は、課税遺産総額1,800万円に対して相続税が課されます。
小規模宅地等の特例を適用すると次のようになります。
【小規模宅地等の特例を適用する場合】
- 土地の評価額:6,000万円
- 土地の減額金額:4,500万円
- 課税価格の合計:1,500万円
- 相続税の基礎控除:3,000万円+600万円×2人=4,200万円
- 課税遺産総額=1,500万円-4,200万円=-2,700万円
このケースでも課税価格の合計が基礎控除額を下回るため、小規模宅地の特例を適用すると相続税は課されません(相続税の申告は必要です)。
なお事業継承関連で、例えば特定事業用宅地等についても「事業を継承した代表取締役だけかどうか?」等、より踏み込んだ個別事象については専門の税理士へ個別のご相談をおすすめします。
4.小規模宅地等の特例を併用する場合
被相続人が区分の異なる複数の土地を所有していた場合、小規模宅地等の特例を併用できます。貸付事業用宅地を含まない場合は完全併用が可能です。したがって、合計の限度面積は730㎡(400㎡+330㎡)になります。貸付事業用宅地を含む場合は、限度面積に制限が加えられます。具体的な制限は次の通りです。
特定居住用宅地等の面積×200㎡/330㎡+特定事業用宅地等(特定同族会社事業用宅地等)の面積×200㎡/400㎡+貸付事業用宅地等の面積≦200㎡
つまり、以上の結果が200平方メートル以下であることを求められます。
参考に、次の例で貸付事業用宅地の限度面積を計算します。
- 特定居住用宅地等の面積:110㎡
- 特定事業用宅地等の面積:200㎡
110㎡×200㎡/330㎡+200㎡×200㎡/400㎡+貸付事業用等の面積≦200㎡
「67㎡+100㎡+貸付事業用等の面積=200㎡」となるため、貸付事業用宅地等の限度面積は33平方メートルになります。
小規模宅地等の特例を併用する場合は、減額金額が多くなるように土地を選択することが重要です。基本的には、使用率が同じであれば限度面積が大きい土地ほど減額金額は大きくなります。有利判定は、考えられるパターンを計算することなどで行えます。ただし、相続税を減らしたい場合は、他の特例との兼ね合いなども検討しなければなりせん。詳しくは、税理士に相談することをおすすめします。
小規模宅地等の特例申請に必要な書類
小規模宅地等の特例を受けたい場合、適用を希望する旨を記載した相続税申告書に所定の書類を添付して提出する必要があります。提出書類は、すべての土地に共通する書類と土地ごとに必要になる書類に分かれます。どのような書類が必要になるのでしょうか。
共通する書類
全ての土地で共通する書類は以下の3つです。
- 「被相続人のすべての相続人を明らかにする戸籍謄本(相続開始から10日以降に作成)」または「図形式の法定相続情報一覧図」の写し
- 「遺言書」または「遺産分割協議書」の写し
- 「相続人全員の印鑑証明書」(原本)
相続税の申告期限までに遺産分割協議が整わない場合は、「申告期限後3年以内の分割見込書」が必要になります。
特定事業用宅地等の必要書類
特定事業用宅地等は、追加の書類を必要としません。
特定同族会社事業用宅地等の必要書類
特定同族会社事業用宅地等に該当する場合は、共通する書類に加え次の書類が必要です。
- 法人の定款の写し
- 法人の株主名簿
- 法人の登記事項証明書
特定居住用宅地等の必要書類
被相続人の配偶者は、追加の書類を必要としません。被相続人と同居していた親族は次の書類が必要です。
- 対象の土地を居住の用に供していることを証明する書類(相続開始後に作成された住民票の写しなど)
マイナンバーカードを提出する場合は不要です。被相続人と同居していなかった親族は次の書類が必要になります。
- 相続開始前3年以内の住所・居住がわかる書類
- 相続開始前3年以内に居住していた家屋が自己・自己の配偶者・三親等内の親族・特別な関係にある法人の所有する家屋以外の家屋であることを証明する書類
- 相続開始時に自己の居住している家屋を相続開始前のいずれの時点でも所有していなかったことを証明する書類
被相続人が老人ホームなどに入所していた場合は次の書類が必要です。
- 被相続人の戸籍の附票(相続開始後に作成されたもの)
- 介護保険被保険者証の写しや障害福祉サービス受給者証の写しなど
- 入所時に作成した契約書の写しなど
貸付事業用宅地等の必要書類
平成30年4月1日以後に相続などで取得した土地は、次の書類が必要です。
- 被相続人が相続開始の日まで3年を超えて特定貸付事業を行っていたとわかる書類(賃貸借契約書など)
上記の条件に該当しない土地は、追加の書類を必要としません。
小規模宅地等の特例で注意したいポイント
ここからは、小規模宅地等の特例の適用を検討するうえで注意したいポイントを解説します。
遺産分割は完了させておく
申告期限までに遺産分割協議が整っていないと、小規模宅地等の特例を適用できません。適用したい場合は、法定相続分で遺産を分割したものとして仮の申告を行い、併せて申告期限後3年以内の分割見込書を提出することになります。3年以内に遺産分割協議が整えば、更正の請求を行うことで小規模宅地等の特例の適用を受けられます。
相続税申告書は必ず提出する
小規模宅地等の特例を適用したい場合、特例適用後の相続税額が0円であっても相続税申告書の提出が必要です。相続税額に関わらず、必ず提出しましょう。
更正の請求が可能なケースもある
小規模宅地等の特例の適用を申告した土地が所定の要件を満たしていない場合、特例は適用されません。更正の請求で他の土地を申告して、その土地が所定の要件を満たしていれば小規模宅地の特例を適用できます。
期限後申告でも特例の適用を受けられるのか
忘れていたなどの理由で期限後に相続税を申告した場合でも、所定の要件を満たしていれば小規模宅地等の特例を適用できます。ただし、申告期限を過ぎていると延滞税などのペナルティを科されます。
亡くなったが老人ホームに入っていた場合
被相続人が老人ホームなどに入所していた場合も、次の要件を満たせば小規模宅地等の特例を適用できます。
- 要介護・要支援認定を受けている
- 老人福祉法や介護保険法などに規定される一定の施設に入所している
- 自宅を賃貸に出しておらず、被相続人と同一生計の親族以外が住んでいない
相続時精算課税制度を利用した場合
相続時精算課税制度を利用して土地を贈与した場合、小規模宅地等の特例は適用できません。
空き家・空き地への特例適用に関して知っておきたいこと
続いて、空き家や空地へ小規模宅地等の特例を適用したいときに知っておきたいポイントを解説します。
家なき子は空き家に特例を適用できない
小規模宅地等の特例は、居住用・事業用・貸付用の土地を対象としています。したがって、家なき子が空き家を相続しても特例を適用することはできません。家なき子の条件は、この記事内の「小規模宅地等の特例の対象となる3つの土地と要件」で解説していますので、そちらも参考にしてください。
空き地を駐車場にして貸付を行う場合
貸付していた駐車場が青空駐車場(※)の場合、小規模宅地等の特例を適用できません。建物または構造物の敷地を対象としているからです。
※ここでいう青空駐車場は、更地に車止め用の石を置いただけ、更地にエリアを区画するロープを張っただけなどの駐車場を指します。
一方で、アスファルト舗装をした駐車場やストッパーを設置した駐車場などは、基本的に小規模宅地等の特例を適用できると考えられます。
アスファルト舗装やストッパーが構造物と考えられるからです。
ただし、何を構造物とみなすかは、専門家でも意見が分かれます。詳しくは、相続専門の税理士に相談しましょう。
小規模宅地等の特例でよくある質問
小規模宅地等の特例でよくある質問に回答します。(※さまざまな条件が考えられるため、個別の判断は税理士などにご相談ください。)
渡り廊下でつながった離れも小規模宅地等の特例を適用できますか?
渡り廊下で母屋とつながっている離れも、小規模宅地等の特例を適用できます。社会通念上、離れは居住用家屋の一部と考えられるからです。ちなみに、離れを物置として使用している場合も同様です。
同じ敷地内の母屋に親(被相続人)、離れに子(相続人)が住んでいる場合、離れにも小規模宅地等の特例を適用できますか?
母屋と離れはつながっておらず、地代・家賃の支払いはないものとします。同一生計の場合は、離れにも小規模宅地等の特例を適用できます。別生計の場合は、離れに小規模宅地等の特例を適用できません。
建て替え中でも小規模宅地等の特例を適用できますか?
居住用住宅を建て替え中であっても、一定の要件を満たせば小規模宅地等の特例を適用できます。具体的には、相続税の申告期限までに建物が完成して、同一生計の親族、土地または建物取得した親族の居住の用に供していれば適用できます。申告期限までに建物が完成しない場合は、完成後、速やかに居住の用に供することが確実と認められる必要があります。
小規模宅地等の特例の適用可否は税理士に相談
小規模宅地等の特例は、相続税を大幅に減額できる可能性がある特例です。ただし、条件や相続財産の評価などは非常に複雑になっています。これらの判断は、慎重に行わなければなりません。
また、適用後の税額が0円であっても相続税の申告が必要、書類作成に時間がかかる、申告期限を守らないとペナルティ(延滞税、加算税、特例が適用されないなど)を科されるなどの注意点もあります。曖昧なまま手続きを進めると、トラブルに発展する恐れがあるため注意が必要です。手間や正確性などを考えると、相続税の申告や小規模宅地等の特例適用は税理士に相談するほうがよいでしょう。