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M&A(税理士事務所)
公開日:2023/12/14 更新日:2023/12/15
税理士事務所M&A市場の動向と今後の展望まで徹底解説
近年、税理士事務所は高齢化や後継者不足、技術革新などのさまざまな要因により、経営環境において大きな変化に直面しています。
このような状況の中で、税理士事務所のM&A(合併・買収)市場は年々活発化しており、業界全体にも大きな影響を与えています。
本記事では、税理士事務所の現状と課題、M&A市場の動向、そして将来の展望について、詳しく解説します。
税理士事務所のM&Aを検討されている方や、退職後の事務所経営に悩む代表税理士、また将来経営を考えている方にとって役立つ内容になります。
税理士事務所とは
税理士事務所とは税理士が個人事業主として運営する事務所のことを言います。税理士が一人で運営する事例も多いですが、従業員やパートタイムのスタッフを雇って少人数〜大人数で運営しているケースもあります。
この税理士事務所では、税に関する専門的な業務を行います。主に、企業や個人の税務申告から税務相談、税務計画の策定などが挙げられます。またその他にも記帳代行、巡回監査、税務調査の立会などのサービス提供も行います。これらの業務は、法律に基づいた専門的な資格を持つ税理士によってサポートされます。
税理士法人の違い
税理士法人は、税理士業務を組織的に行うために、2名以上の税理士が共同で設立した法人のことを言います。税理士事務所が個人事業主に対して、税理士法人が会社(法人)ということになります。
会計事務所との違い
税理士が「〇〇会計事務所」と名乗って開業することがありますが、この場合「〇〇会計事務所」は正式名称ではなく俗称・屋号になります。
通常、税理士が設立する事業所は、「税理士事務所」となります。税理士事務所ではなく、会計事務所として開業する場合の多くが、税務以外の会計や経営コンサルティングなどの幅広い業務を取り扱うためです。
税理士事務所業界の現状や課題
税理士事務所業界は現在、多くの課題に直面しています。その現状や課題について詳しくみていきましょう。
税理士の高齢化と後継者不足
税理士業界は、今や税理士の2人に1人は60歳以上という高齢化が顕著な業界です。
多くの現役税理士が退職年齢に近づいており、新たな若手税理士の育成と確保が追いついていないのが現状です。この高齢化は、特に個人経営の税理士事務所において顕著で、後継者不足によって事務所の閉鎖や業務の縮小を余儀なくされるケースが増えています。
税理士の年齢層(平成26年「2014年」1月1日現在)
20歳代 | 0.6% | |
30歳代 | 10.3% | |
40歳代 | 17.1% | |
50歳代 | 17.8% | |
60歳代 | 30.1% | 53.8% |
70歳代 | 13.3% | |
80歳代 | 10.4% |
高齢になると、健康上の理由で思うように仕事が出来なくなったり、新しい技術や制度に対応できなくなってきてしまいます。いざ後継者を探そうと思っても、そもそも30〜40代の税理士資格を持つ人材が不足しているため簡単には見つかりません。
この若手の税理士不足問題は、資格取得の難易度の高さや、税理士としてのキャリアに対する魅力の低下が主な原因とされています。この問題は税理士業界の未来に重大な影響を与える可能性があり、解決策の模索が急務となっています。
個人事務所が減少し法人設立が増加傾向
税理士業界では、個人で運営する事務所の数が減少する一方で、税理士法人の設立数が増加しています。これは、業界における競争の激化や、より複雑な税務ニーズへの対応が必要とされる中で、規模の大きな組織がより有利になっているためです。
▼税理士事務所と従業員数の推移
平成24年 | 平成28年 | 差 | |
事業所数 | 31,222 | 31,208 | ▲14 |
従業員数(人) | 169,909 | 177,318 | +7,409 |
税理士法人設立届出数推移
平成28年 | 平成29年 | 平成30年 | 平成31年 | 令和元年 |
3,273 | 3,519 | 3,727 | 3,963 | 4,104 |
※いずれも3月末現在
参考:ひかり税理士法人
税理士法人では、複数の専門家が連携し幅広い税務サービスを提供できます。また、法人化することで、リソース共有による効率化やリスク分散による事業の安定性が保たれます。これに対し、個人で運営する税理士事務所は限られたリソースの中で、特定の顧客層に特化したサービスを提供し続けることが多く、市場における競争力を維持することが難しくなっています。
顧客企業数の減少及び顧問料の低下
近年の市場全体の競争激化や、IT技術の普及による企業自体の内部経理能力の向上などで、税理士事務所は顧客企業数の減少も課題となっています。
また少子高齢化によりどの業界も後継者不足の問題を抱え、廃業を余儀なくされる中小企業数が増えたことで、顧客数減少は更に加速しています。
加えて、顧問料の低下も大きな課題です。
税理士の報酬といえば、一昔前はどこも同じという時代もありました。しかし市場における激しい価格競争や、自動化ツールの普及により、顧客はより低価格でサービスを求めるようになっています。
従来からの記帳、書類作成中心の税務・会計に関する一般的な業務だけでは仕事がなくなってしまう恐れもあり、危機感を募らせています。
優秀な人材の独立よる退職
税理士業界では、優秀な人材や税理士が独立する傾向が強く、これが税理士事務所業界では人手不足を招いています。税理士になるためには実務経験が必要なため、多くの人が税理士事務所で働きながら資格を取得し、実力をつけた後に独立してしまうことが多いのです。
次世代の人材が十分に育つ前に退職されてしまうと、事務所内での知識や経験の伝承がされず、業務の質の低下や新規顧客の獲得、既存顧客の維持も難しくなってしまいます。結果として事務所の成長と収益性が損なわれる恐れがあります。
このため、税理士業界では、若手の育成、キャリアパスの充実、そして働きやすい職場環境の整備が急務とされています。
AIやIT技術普及で仕事が奪われる可能性
AI(人工知能)やIT技術の進歩は、税理士事務所の業務に大きな変化をもたらしています。これらの技術は、税務申告や会計業務など、従来税理士が行っていた作業の一部を自動化し、効率化することが可能です。
すでにクラウド会計ソフトウェアが一般的に使用されるようになり、基本的な作業であれば、高度な専門知識がない人でも比較的短期間で対応できる業務が増加しています。
この結果、税理士の一部の仕事がこれらの技術によって代替される可能性があります。
しかし、これは単に仕事が奪われるだけではなく、税理士にとっては新たな機会が生まれることを意味します。AIやIT技術を取り入れることで、税理士はAIでは提供が難しいより専門的で付加価値の高いサービス(税務コンサルティングや経営相談、顧客の紹介など)に集中できるようになります。
この技術革新は、税理士にとって業務の範囲を広げ、新しいスキルを身につける機会となるでしょう。
インボイス制度導入による影響
2023年10月にインボイス制度が導入され、税理士業界にも大きな変化をもたらしています。
この制度では消費税を正しく計算するため、事業者は出す請求書に特定の情報を載せる必要があります。これに伴い、顧客が消費税を適切に管理し、正確な請求書を作成できているかを確認したり指導するという業務が税理士に新たに求められるようになりました。
顧客と連携して十分に事前準備を行わないと、申告時の業務負荷は大幅に増加する可能性があります。しかし、日常業務に追われる中で、この新しい課題に対応するのは現実的に困難な状況です。
税理士事務所業界M&Aの動向と今後の展望
税理士事務所業界のM&A市場は、近年拡大傾向にあります。
この市場拡大の背景には、「税理士業界の課題や課題」で述べてきたような
・税理士の高齢化と後継者不足
・個人事務所の減少と法人の増加
・顧客数減少や顧問料低下による競争激化
・優秀な人材不足や人手不足
などの要因が大きく関係しています。
特に、退職が迫る高齢の代表税理士が運営する税理士事務所や、経営の安定性・業務範囲の拡大を目指す小規模事務所の大手法人との合併や買収が増えています。
また、業務の効率化や専門性の強化、新たな顧客層の獲得などを目的とした戦略的なM&Aも活発に行われています。そして今後も税理士事務所業界におけるM&Aは引き続き増加すると予想されます。その結果、税理士事務所業界は成長と進化の可能性を秘めており、これが業界の構造に新たな変化をもたらすかもしれません。
M&Aの認知度向上による需要の拡大
税理士事務所業界におけるM&A(合併・買収)の需要が拡大している背景には、M&Aに対する認知度の向上も大きく影響しています。
以前は、M&Aと言えば大企業間の大規模な取引が主流でしたが、現在は売上高1千万円から1億円規模の小規模な案件が主流となっています。これにより、個人や中小企業でもM&Aを実施できるようになりました。
特に税理士事務所においては、事業拡大を目指す税理士法人が買い手となり、売却が成功しやすくなっています。また、安価で利用できるM&Aマッチングサイトの登場により、誰でも簡単に案件を探すことが可能になりました。
このような変化は、特に小規模な税理士事務所や後継者問題に直面している事務所にとって、新たな機会を提供しています。合併や買収を通じて、これらの事務所は業務の安定性を高め、市場での競争力を強化することが可能になっています。
税理士事務所の受け入れ先は税理士法人
後継者不足に悩む高齢の代表税理士が運営する税理士事務所の売却先として、税理士法人が注目されています。税理士法人に受け入れてもらうことで、小規模事務所や個人事業主は安定した経営基盤と市場での競争力を得ることが可能になります。
税理士法人は、M&Aを通じて自社のサービス範囲を拡大し、新たな顧客層にアプローチする機会を得ます。また、統合される事務所やスタッフの専門知識を活用することで、より高度な税務サービスを提供し、市場での存在感を高め、業務の多様化と専門性の深化を図ることができます。
税理士事務所M&A市場の動向と今後の展望まとめ
近年、税理士事務所のM&A市場は大きな転換期を迎えています。税理士の高齢化や後継者の不足、新技術の導入、さらには市場競争の激化が、この変化の主要な要因となっています。
この流れの中で、特に目立つのは、小規模な税理士事務所が安定性と成長のために大手法人と合併したり、買収されるケースの増加です。これにより、税理士事務所のM&A市場は今後も拡大を続けることが予想され、これが業界の構造に大きな変革をもたらすかもしれません。