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相続税申告
公開日:2019/04/03 更新日:2023/03/03
財産を相続する前に読んでほしい!相続に必要な手続き
財産を所有していた親族が亡くなると、その財産を相続することになります。相続は配偶者をはじめ、近親者から行われます。
そのため、愛する人の死で打ちひしがれた気持ちの中、葬儀やその後に続く法事に関するこまごまとした手続きに忙殺されながら、財産の相続についても考えていかなければなりません。
しかし、いくら親族が集まったからとはいえ、葬儀をはさんだ数日間で遺産のすべてをチェックし、分与について話し合い、さらに手続きまで終わらせようとすることは大変な労力です。また遺産相続について知らないことばかりでは、スムーズに話し合いが進みません。
そこで、財産を相続するかもしれないと気づいた時、まだ両親・兄弟が健在なうちに家族みんなで読んで知っておいて頂きたい、相続に必要な手続きと、相続のスケジュールについてご紹介していきます。
財産を相続する権利と義務
財産を相続するにあたっては、「財産を相続できる権利」と「財産を相続したことに対する義務」が生じます。その2点について、まずは知っておきましょう。
財産を相続できる権利
家族なのだから財産を相続できて当たり前、と思ってしまいがちですが、財産を相続できるかどうかはチェックしてみなければ分からないのです。
・相続可能な財産があるかどうか
・法的な効力を持つ遺言書が残っていないか
・自分が法定相続人の中に含まれているか
これらが、相続できるかどうかに必要な情報となります。
【相続可能な財産があるかどうか】
財産には、不動産や預貯金、有価証券といった「プラスの財産」と、負債や入院費、葬祭費などの「マイナスの財産」があります。
相続できる遺産は、「プラスの財産」から「マイナスの財産」の金額を差し引いたものになります。多額の負債が残っていた場合、預貯金などの財産で支払うことになるため、時には相殺されて何も残らなかったり、マイナスの財産しか残らなかったりということもあります。
そのため、故人が残した財産をプラス・マイナスすべて調べ、何が残るかを計算しなければなりません。
財産を相続したことに対する義務
財産を相続すると、相続税が発生する可能性があります。相続税には免除されるポイントがあり、一律3000万円までは相続税が免除されます。
さらに相続人数×600万円で計算される額も免除されます。
・配偶者と子ども2人が相続人の場合…3000万+1800万=4800万円まで
・配偶者と子ども3人が相続人の場合…3000万+2400万=5400万円まで
この計算で算出された免除額を相続財産から差し引いた額に、相続税がかかります。
相続税は、相続財産-免除額の金額が大きければ大きいほど税率も大きくなります。実は平成27年に法律が変わり、相続税免除額が5000万円から3000万円へと大幅に減額されました。
そのため、一度平成27年より前に相続をしたことがある方は、相続税について実際より低く見積もりがちです。今は税制が変わっていることを忘れないようにしておきたいですね。
【法的な効力を持つ遺言書が残っていないか】
法的な効力を持つ遺言書が残っており、財産に関する指示があれば、それに従う必要があります。そこで「すべての財産を配偶者ひとりに譲る」「すべての財産を寄付する」といった文言があれば、子ども・孫といった第1順位の遺族でも財産を相続することができなくなります。
【自分が法的相続人の中に含まれているか】
法的相続人は、配偶者が基本になっており、そのほかの近親者が、民法で決められた順番どおりに相続することになっています。
配偶者…財産の2分の1が基本。他の法的相続人によって3分の2、4分の3になることも。
第1順位…直系の子ども。亡くなっていれば孫。財産の2分の1を、人数で割る
第2順位…直系の両親。亡くなっていれば祖父母。財産の3分の1を、人数で割る
第3順位…本人の兄弟。亡くなっていればその子ども。財産の4分の1を人数で割る
第1順位の親族がいれば、その人々で配偶者の取り分以外の財産を平等に分けることになります。その際は第2、第3順位の親族には財産相続の権利は発生しません。
しかし財産の相続に関する民法は、基本的に指針であり、罰則を含んだ絶対の命令ではありません。家族で話し合い、誰がどう相続するのかを決めることが円満な相続の唯一の方法です。
もし自分が配偶者であれば、遺言書が無い限り相続可能でしょう。そのほかの親族の場合は、自分が故人にとってどの位置に該当するかをチェックしてみましょう。
申告期限(申告・納付)は命日翌日から10か月以内
次に注意したいのが、相続税の申告期限の確認です。
実は相続税には申告・納付に期限があり、きちんと期限内に手続きを行わないと、損をしてしまうのです。
申告期限については、相続税の申告期限を守るには?の記事でまとめているので、参考にしてください。
相続の申告をしなければならないケース
また相続税が発生していなかった場合でも、相続の申告をしなければならないケースもあります。
・配偶者の税額軽減特例
・小規模宅地等特例
・相続財産の寄付(措法70条)
・納税猶予(農地・非上場株式)
これらが適用されているケースでは申告の必要があるので、注意が必要です。なお期限は一般の相続税と同様の10か月以内です。
相続までに必要となる手順をスケジュール順にチェック
それでは、相続までに必要となる手順を、スケジュールを追ってチェックしてみましょう。すべきことが多いので、事前に知っておくことでスムーズに進められるようになります。
1.故人の葬儀にともなう各種手続き・届け出
まずは故人の葬儀を執り行わなければなりません。大切な家族が亡くなり、ショックで立ち直れなかったり、茫然として何もやる気が起きなかったりすると思います。
そういった状態の遺族の心を紛らわせるためにも、葬儀関係の煩雑な手続きは役立っていると言われています。
【葬儀会社・セレモニーホールへの連絡】
まずは葬儀会社やセレモニーホールに連絡し、葬儀の予約とさまざまな手続きの代行をお願いします。
【菩提寺などへの連絡】
地方などで菩提寺とのつながりが密接な地域の場合は、菩提寺の僧侶が葬儀などを取り仕切る場合があります。葬儀会社と連携をとってもらわなければならないため、菩提寺にもいち早く連絡します。
都会などで菩提寺が遠い、分からないという場合は、葬儀会社が宗派に合わせた僧侶を派遣してくれます。
【死亡届・死亡診断書】
故人の死後7日以内に必ず提出しなければならない書類です。死亡届と死亡診断書はひとつになっています。死亡診断書は病院で死亡を確認した医師が書いてくれます。
死亡届は必要事項を記入し、自分で区市町村役所へ届け出るか、死体火葬許可申請書とともに葬儀会社の担当者に渡します。
【死体火葬許可申請】
ご遺体を荼毘にふすための許可申請です。死亡届・死亡診断書を葬儀会社に預けると、代行で手続きしてくれる場合が多いので、打ち合わせ時に確認しましょう。
【通夜・葬儀の予定決め】
葬儀会社と密に連絡を取り合い、通夜・葬儀の予定を決めます。精進落としの食事を出すのか、引き物は何にするのか、受付は誰がやるのかなど、こまごまとしたことを決めます。
【親族への連絡】
通夜・葬儀の予定がだいたい決まったところで、親族に連絡を入れます。その際、受付などお願いする際は一言挨拶しておきましょう。
【葬儀の準備】
セレモニーホールなどで葬儀の準備が始まります。ご遺体を湯灌し、経帷子を着せて家からセレモニーホールへ移すなどの手配が行われます。
家族も喪服などを用意し、葬儀前の忙しい時間は黒のズボンに黒のトップス、女性はそこに白いエプロンや割烹着などをつけておくと、来客の対応時にも困りません。
【通夜・葬儀】
葬儀会社との打ち合わせが終了し、斎場の予約も取れたら、その予約の時間に合わせて通夜・葬儀を行います。
通夜は一晩お線香を絶やしてはいけないと言われているため、近親者が交替で寝ずの番を行うか、セレモニーホールで見てもらうかになります。
【初七日・四十九日・納骨】
法事は初七日・四十九日、納骨・一周忌などが1年目に行われます。地方によって、お寺によっては、すべて葬儀の日、もしくは四十九日の集まりで済ませてしまう家庭が増えてきました。
2.故人の死亡にともなう各種手続き・届け出
葬儀が終わっても、やらなければならないことは山ほどあります。まずは故人が生前利用していた社会保障制度などに、死亡に伴い資格を喪失したことを届け出るなどの手続きを行いましょう。
・健康保険証の資格喪失届を行い、返納する(働いていた場合は職場で手続きする)
・国民健康保険などから葬祭費用を受け取るため、喪主が役所で手続きをおこなう
・年金の支給を止めてもらい、未支給年金をもらう
・遺族年金などがもらえないか調べ、手続きをする
・介護保険の資格喪失届を出す
・介護保険被保険者証のコピーを取ってから市町村役場に返納
・会社員の場合死亡退職届を出し、健康保険証を返納する
・生命保険に加入していたら死亡保険金をもらう手続きを行う
・世帯主変更届を出す
生命保険は覚えていても、傷病保険などはつい忘れがちです。普段から重要な書類はまとめておき、万一の時に焦らないようにしましょう。
国民健康保険や介護保険など、社会保障制度に関する手続きは、故人が死亡後2週間以内に行うようにしてくださいね。
3.相続に関することについての確認
ここまでの手続きをすべて済ませて、やっと相続に関することについての確認になります。
できるだけ早く、親族がみんな集まっているうちにやっておいた方が良いこと、その後落ち着いてからでも大丈夫なことがあります。
【遺言書があるかどうかの確認】
親族が集まっている間に、遺言書が遺されているかどうかを確認します。遺言書といっても、いろいろと種類があります。
・自筆証書遺言
自分で書いて作成した自筆の遺言書になります。公証人を含め誰にも内容を知られません。
・秘密証書遺言
パソコンでも作ることができる、自作の遺言書です。公証人に自分の意志で作成したことを確認してもらわなければなりません。しかし内容は誰にも知られません。
・公正証書遺言
公証人に作成してもらう遺言書です。保管も公証役場で行ってしまうので、他人の手が入ることがありません。法的効力を持つ遺言書です。
自筆証書遺言と秘密証書遺言は、自宅で見つけた場合、絶対に開封してはいけません。開封すると効力を失います。
自筆証書遺言と秘密証書遺言の場合は、家庭裁判所に検認してもらってから開封します。
いずれの遺言書に関しても、本人以外存在を知らないと忘れられる恐れがあります。おすすめは公正証書遺言を作成し、親族にその存在を伝えておくことです。そうすれば内容を知られることも、生前に開封されることもなく、死後適正に執行されます。
【相続人を確認する】
遺言書を確認し、相続人に関する記述がなければ相続人を確認します。相続人の確認についてはこのコラムのトップでご紹介しましたね。
自分が今回相続人になるかどうかは、故人と自分の関係によって違ってきます。現在は生涯独身を貫く人も増えているため、突然大叔父などの遺産相続人であることが知らされるといったこともあります。
【遺産がどれくらいあるのか調査する】
遺産は土地や家屋といった不動産、預貯金などの現金、有価証券のほか、借金や未払金などもあることはご説明しました。財産がどれほど残るかは、プラスの財産からマイナスの財産を引き、残った金額になります。
4.遺産を相続する方法を決め、遺産分割協議を行う
誰が遺産相続人なのかを確認し、遺産がどれくらいあるのかを調査したら、どのように遺産相続するのかを決めます。
遺産の相続方法は3種類あります。
・単純承認
もっとも一般的で、プラス・マイナスどちらの財産も相続する方法です。
・限定承認
プラスの財産を活用して、返済できる分だけのマイナスの財産を相続します。相続人全員が同意しなければ選択できません。家庭裁判所に申立を行わなければならず、限定承認期限は故人死亡から3か月間となります。
・相続放棄
相続権が自分にあることを知ってから3か月以内であれば、相続を放棄することができます。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も放棄できます。家庭裁判所で手続きをする必要があります。
また財産放棄をする人は、財産に手を付けてはいけません。万一手を付けると放棄が認められないこともあります。
【遺産分割協議】
相続の方法が決まったら、相続人で遺産分割協議を行います。財産はすべてきれいに分けられる現金だけ、というわけではないので、誰が何をどれほど相続するのかを決めなければなりません。
話し合いできれいに分割が決まればいいのですが、どうしても話がまとまらず、もめたり、喧嘩に発展したりと話し合いが荒れることもよくあります。
この場合は、家庭裁判所の調停委員会に入ってもらい、遺産分割調停を行って話をまとめます。
それでも話が決まらず、相続税の申告期限である故人の死後10か月間を過ぎてしまう恐れがある場合は、【申告期限後3年以内の分割見込書】を作成し、添付して相続税申告書を提出しなければなりません。
もし話し合いがこじれて相続税納税期限までに手続きができないと、相続税に関する控除・特例適用が受けられなくなる可能性があります。必ず10か月間しかない、ということを頭に入れて、期日を意識しておきましょう。
【各財産の名義変更】
いよいよ財産の分割が決まったら、各財産の名義変更を行います。土地だけでなく、さまざまな不動産・動産の名義変更をしておきましょう。
5.相続税の申告準備
相続が決まって、それぞれの財産の名義変更が終了したら、相続税の申告の準備をします。先にご紹介した【相続税の計算方法】を参考にして、相続税が発生するかどうかを計算します。
相続税が発生しない場合も、控除や特例を適用される場合は申告しなければなりません。こういった準備で分からないことが多いという場合は、相続に強い税理士に相談してみましょう。
申告には必要な添付書類がさまざまあります。非常にたくさんありますので、チェックリストを参考に、時間に余裕をもって準備をしましょう。
6.相続税申告書の作成
相続税申告書を作成するためには、相続する財産・適用される控除をきちんと理解し、それぞれの内容に合わせた必要書類を揃えなければなりません。
また相続人に農業を行っている人がいるケースや、相続人の中に配偶者がいるケース、相続人に未成年者・障害者がいるケースなど、申告書の別表がそれぞれ異なります。
・相続が続いて相続税の支払いが重なっている場合
・海外に財産がある場合
・生命保険や死亡退職金を相続する場合
・小規模宅地等の特例適用を受ける場合
・贈与を受けた場合
・納税猶予の適用を受ける場合
これらの場合もそれぞれ提出が必要な申告書があり、他にも異なる申告書があります。
7.相続税の申告・納税
相続税の書類がすべて揃い、申告書の作成が終了したら、期限に間に合うように現金一括で相続税を納付します。
相続税の申告と納税は、故人が住んでいた住所を管轄する税務署に提出する必要があります。書類は相続人全員分をまとめて一書類として提出します。そのため遠方に住んでいる相続人がいる場合は注意しましょう。
納付は金銭での一括納付ですが、どうしても支払えない場合は金銭分割払いで延納の特例もあります。また不動産などでの物納といった例外もありますが、いずれも10か月間以内に申告しなければなりません。
延納の特例を申請しても、税務署が払えると判断すれば却下されてしまう恐れがあります。さらに延納申請には担保の提供が必要です。
相続税の申告・納税の期限は10か月ということから逆算し、どうしても間に合わない、話がまとまらない、そもそも相続について親族が親身になって考えてくれないということなら、早めに相続に強い税理士に相談しましょう。
8.税務調査や追徴課税があれば対応する
相続税を納付し終えても、これにて終了、という訳ではありません。税務調査や追徴課税などがある可能性もあります。
追徴課税は申告漏れなどがあった場合に対応する必要があります。相続に強い税理士に相談して手続きすることで、こうしたトラブルも回避できます。
相続の話が出たら、まずは自分が相続人かチェック!
近しい親族が亡くなった場合は、葬儀に関する手続きや社会保障制度に関する手続きを行いつつ、相続についても考えていかなければなりません。
相続の話が出たら、まずは自分が相続人に入るかどうかをチェックします。もし自分が相続人であれば、すぐに相続に必要な手順をチェックしましょう。
相続税申告は10か月が期限です。相続税の納付が遅れると延滞税などが発生する可能性があるため、期限は厳守しなければなりません。
他にも相続人がいて話し合いがまとまりそうもない、忙しくて複雑な調査や書類作成ができないという場合は相続に強い税理士に相談し、期限に間に合うように手続きを行いましょう。