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決算対策・節税
公開日:2017/10/10 更新日:2021/05/19
役員報酬はいくらにすべきか。決め方で納税額が変わります!
今までは利益を出すことだけに労力を費やしていた方も、事業がようやく軌道にのり利益がコンスタントに出るようになってきたら、次は節税を考えるようになるのではないでしょうか。ここまでの苦労を振り返ると、業績が良くなった分を自分の役員報酬に上乗せしたいと思う気持ちは十分に理解できますが、役員報酬を税務上費用として認めてもらうためには以下3つの方法があります。
(1) 定期同額給与
定期同額給与とは毎月の給与支給額が同額である給与のことをさします。ただし職務や階級の変更等に伴う改定や著しい業績の悪化に伴う減額改定は認められます。また、毎月一定の金額を役員報酬として支払っていれば、税務署に対する特別な手続き等は不要です。
(2) 事前確定届出給与
事前確定届出給与とは決まった時に確定額を支給する給与で、事前に税務署にその旨の届け出を提出している給与のことをさします。毎月の給与支給額が一定でない場合でも適切な届け出を行えば税務上の費用として認めてもらえます。
(3) 利益連動給与
利益連動給与は、事業年度の利益に連動した給与で、有価証券報告書を提出している会社にのみ選択することが認められています。
利益連動給与は事業年度の利益に連動した給与で、同族会社以外の法人で有価証券報告書を提出している会社等一定の条件を満たした場合にのみ適用を認められます。
役員報酬は、上記のいずれかの方法によることを前提とした上で報酬額をいくらに設定するかによってさらに節税することが可能となります。これは会社の利益にかかる法人税等の税率と個人の所得にかかる所得税等の税率に差異があることから生じます。以下に単純な例を使って、法人税(25.5%)と所得税(5~45%)の合計金額がどれくらい異なってくるのか計算してみます。
例 売上1,000万円、費用は役員報酬のみと仮定
(1) 毎月の役員報酬25万円の場合
- 年収 25万円×12ヶ月=300万円
- 法人税額 (1,000万円-①)×25.5%=178万円
- 所得税額 (①-9万円)×10%=29万円
- 税額合計 ②+③=207万円
(2) 毎月の役員報酬80万円の場合
- 年収 80万円×12ヶ月=960万円
- 法人税額 (1,000万円-①)×25.5%=10万円
- 所得税額 (①-153万円)×33%=266万円
- 税額合計 ②+③=276万円
毎月の役員報酬が25万円の場合と80万円の場合とでは納税額に約70万円の差が出ていることが分かります。そのため節税という観点において役員報酬の金額をいくらに設定するかということが非常に重要になってきます。ただし、厳密には中小企業者は法人税率の特例が適用されますし、会社の利益に対する地方税や、個人の所得に対する住民税、役員報酬にかかる社会保険料等も考慮する必要があります。
また、所得税率は累進課税であるため、所得が低ければ低いほど税率が低くなり税額が安くなることから、配偶者等が事業に従事している場合は配偶者等と所得を分散することも節税につながりますが、決定した役員報酬の金額が不相応に高額と判断されてしまう場合には、相応と考えられる金額を超えた部分については費用として認められないことに注意が必要です。
自社に最適な役員報酬の金額を知りたい場合には税理士に相談しましょう。
結局、役員報酬も税金との兼ね合いで考えることが必要です。
役員報酬以外にも、まず会社にお金を残すために>>節税方法を考えることも大切です。