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公開日:2017/08/21 更新日:2019/10/18
税務上の落とし穴!個人事業主が従業員を雇う際の注意点
事業が軌道に乗って忙しくなるにつれて、従業員を雇用しようかと悩んでいる個人事業主の方は多いのではないでしょうか。
しかし、何をどう始めればいいのかわからない方も多いはず。そこで今回は、個人事業主が従業員を雇用する際にするべきことと、税務上注意しなければならない事を解説しています。
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従業員を雇う際に必要な手続き
従業員を雇用するには、まず「税務署」「労働基準監督署」「ハローワーク」での手続きが必要になります。
税務署での手続き
従業員を雇用して給与の支払いをする場合、所轄税務署へその旨を届けなければなりません。その届出に必要な書類は「給与支払事務所等の開設届出書」です。この給与支払事務所等の開設届出書は、従業員を雇用してから1ヶ月以内に税務署へ持参または郵送にて提出する必要があります。
給与支払事務所等の開設届出書は、各税務署でもらえますが国税庁のホームページからダウンロードも可能です。
また、従業員が10人未満であれば、徴収した従業員の所得税をまとめて納付できる特例を受けられます。所得税は、本来なら徴収した日の翌月10日が納期限となっていますので、毎月給与から所得税を徴収しているのであれば、毎月納期限までに納付しなければなりません。しかし、この特例を利用すれば、徴収した所得税を1月と7月の年2回にまとめて納付することができるのです。
必要な書類は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」です。こちらも国税庁のホームページからダウンロードが可能です。提出期限はありませんが、毎月の納付は意外と手間のかかるものですので利用されることをおすすめします。
労働基準監督署での手続き
次に、労働基準監督署での必要な手続きを解説します。従業員を雇用すると短期のアルバイトであっても「労災保険」の手続きが必要です。
労災保険の手続きには「労働保険関係成立届」「労働保険概算保険料申告書」の2種類の種類を労働基準監督署へ提出します。労働保険関係成立届は雇用してから10日以内、労働保険概算保険料申告書は雇用してから50日以内が提出期限ですので忘れずにおこないましょう。
ただ、提出に必要な書類は、労働基準監督署に取りに行く必要があります。労働基準監督署内で書き方の指導をおこなっていますので、印鑑と保険料分の現金、事業所の所在地がわかるものを持参すればその場で加入が可能です。
ハローワークでの手続き
ハローワーク(公共職業安定所)では、雇用保険の手続きをします。必要な書類は「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」の2種類で、いずれも雇用してから10日以内
に提出しなければなりません。書類はハローワークのインターネットサービスからダウンロードが可能です。
なお、農林水産業、建設事業者の場合は手続きが異なりますので、所轄の労働基準監督署またはハローワークへお尋ねください。
手続き後の日々の業務
諸々の手続きが終わると、今度は従業員を雇用したことで必要になる月々の業務が始まります。源泉徴収義務者となった個人事業主は、源泉所得税(復興特別所得税含む)を納める義務があります。
給与計算時の源泉所得税の計算
従業員の給与から源泉徴収をおこなうには、「給与所得の源泉徴収税額表」を用います。この給与所得の源泉徴収税額表は、支払い方法に応じて3種類に分かれており、給与計算が月払いの場合の「月額表」、日払いや週払いの場合「日額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」があります。
もっとも多く利用される月額表では、社会保険料控除後の給与金額に応じて、源泉徴収税額表を参照することで、源泉徴収月額がわかるようになっています。
この源泉徴収税額は、「扶養控除等申請書」の提出がある従業員には「甲」の欄、提出のない従業員の場合には「乙」の欄に税額を参照します。
源泉徴収税は「源泉徴収簿」で管理すると良いでしょう。源泉徴収簿には従業員ごとに徴収税額や社会保険料の控除額、総支給額などが記入できますので、月々の管理の負担が少し減るのではないでしょうか。
源泉徴収した所得税を納付
従業員の給与から源泉徴収した所得税は、原則として源泉徴収をおこなった翌月10日までに納付しなければなりません。納付の際は、「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、所轄の税務署または金融機関で納付をおこないますが、e-Taxでも可能です
なお、前述の通り、従業員が10人未満の事業所は半年に一度まとめて納付できる「源泉所得の納付の特例」が受けられます。半年に一度になると手間が減りますが、期日を間違えたり越えてしてしまったりといったリスクが伴います。この特例を受けるなら、半年に一度の納付期限を守るよう心がけましょう。
従業員に対して年末調整をおこなう
従業員を雇用し、毎月源泉徴収をおこなうと年末には年末調整が必要となります。従業員から「給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書」「「住宅借入金等特別控除証明書」「扶養控除等申告書」の3点を回収し、所得税額を確定させます。そのうえで過不足があれば給与で精算します。
年末調整は従業員を雇用すると必ずおこなわなければなりません。手間と時間のかかることですが、正確な税金納付のためには重要な業務ですので、注意深く取り組みましょう。
まとめ
個人事業主が従業員を雇用する際に必要な手続きや注意点を解説してきました。雇用の際の手続きが終わると、源泉徴収等の業務が必要になります。事業が忙しくなって従業員を雇用したはずなのに、従業員の労務管理に追われていては本末転倒です。
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