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公開日:2019/04/17 更新日:2023/03/03
遺産分割トラブル回避のために、遺産分割協議書や遺言書を作成しよう
みなさんは「遺産相続」と聞くと、どのようなイメージがありますか。「うちはみんな仲がいいし、大層な遺産なんてないからもめないわ」と考えている方も多いかもしれませんね。
でも遺産に関わるトラブルは、いつの世も絶えることがありません。実は増えている、とも言われているのです。遺産の分割はなぜ問題になりやすいのでしょうか。そしてトラブルにならないためにはどうすれば良いのでしょうか。
- 遺産相続の分割協議はなぜトラブルになるのか
- 遺産相続トラブルは減ることがない
- 遺産相続トラブルは一般的な家庭で起きている
- 遺産相続トラブルは兄弟仲の良さとは関係しない
- 遺産相続は血族だけでなく、その配偶者も関わってくる
- 親や実家の庭屋敷への想い、介護の負担などが個々で異なる
- 【遺産分割協議書を作る】遺産分割でもめないためにできること・その1
- 遺産分割協議書とは
- 遺産分割協議書の作り方
- 遺産分割協議書の代行者
- 遺産分割協議ではどんなことでもめやすいか
- 【被相続人に遺言書を作成してもらう】遺産分割でもめないためにできること・その2
- 遺言書は遺産分割で最優先される「故人の意思」
- 遺言書を書いて欲しいとストレートに言う事は難しい
- 終活・エンディングノートの作成を勧める
- 親が遺産相続をしたときの苦労話を聞く
- 兄弟間でじっくり話し合ってから、全員で親にお願いする
- 相続開始から10か月間の相続税申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合
- 遺産分割協議はなるべく早めに!できればみんなが元気なうちに話し合おう
遺産相続の分割協議はなぜトラブルになるのか
遺産を誰がどれくらい相続するのか、何を相続するのかなどを相談して決めることを、遺産分割協議と言います。この協議でもめることが多いのです。では、どのようなことでトラブルになるのでしょうか。
遺産相続トラブルは減ることがない
遺産相続トラブルは、バブル期には8000件に達していませんでしたが、2010年ころには1万件を超えます。2010年には11737年、2017年には12166件となっています。
2014年には15286件に達し、この時期には10年で1.4倍という増加を見せていました。現在は多少数が落ち着いているとはいえ、代理人弁護士がついた割合は増えています。
【出典】日本弁護士連合会
遺産相続に関する情報は、インターネットなどを活用して簡単に調べられる時代となっているはずなのですが、遺産相続トラブルは今もどこかで起きているのです。
遺産相続トラブルは一般的な家庭で起きている
遺産相続トラブルと聞くと、横溝正史氏の名作『犬神家の一族』のように、莫大な財産をめぐる話、というイメージがあるかもしれません。
確かにそういった例もあるかもしれませんが、遺産相続トラブルの多くは、ごく一般的な家庭や、一族の中で起きています。
トラブルが起きている家庭の多くは、遺産総額が5000万円以下といわれています。遺産総額は現金だけではなく、土地や家屋などの不動産も含むので、5000万円の遺産は、一般の範疇に入ります。
実は遺産総額が1000万円以下というケースは約3割を占め、1000万円~5000万円以下というケースは4割強を占めます。つまり7割が1000万円~5000万円という家庭なのです。
たとえば6億円の遺産を母と3人兄弟で分けるとなると、取り分は母が3億円、3人兄弟が1億円ずつになります。
高齢の母は今後年金収入もあるでしょうし、次の遺産相続もそう遠い日の事ではないかもしれません。そういった場合は意外ともめないものなのです。
逆に子ども3人で2000万円の遺産、といった、あまり高額ではない遺産を平等に分配しようというケースの方がもめやすい傾向にあります。
遺産相続トラブルは兄弟仲の良さとは関係しない
遺産相続トラブルは、もともと仲の悪い兄弟や親族間で起きるもの、と考えている方も多いでしょう。
そのため「うちは兄弟みんな仲良しだから絶対にそんなことにはならない」と、他人事として見てしまいます。
しかし実際は、仲が良く長期休暇には実家に集まり、普段からSNSでつながっている兄弟も、仲が悪く冠婚葬祭でしか顔を合わせないという兄弟も、関係ありません。
どんなに仲が良くても、遺産相続の分配で少しつまずくと、トラブルに発展してしまうことが多々あるのです。
遺産相続は血族だけでなく、その配偶者も関わってくる
遺産相続を実際に行うのは、故人の子どもなどの血族がほとんどです。しかしその話し合いとなると、必ずその配偶者も関わってきます。
どんなに兄弟仲が良くても、配偶者同士はほとんどの場合赤の他人同士です。出身地も違えば、考え方も、財産やお金に対する価値観も異なります。
配偶者によっては、遺産を分配してもらえることにいろいろな期待を寄せているケースもあります。そのため、さまざまな思惑が交差し合い、余計にもめやすくなるのです。
親や実家の庭屋敷への想い、介護の負担などが個々で異なる
同じ親に育てられ、同じ家で育った兄弟であっても、親に対する気持ちや実家の家屋や土地に対する想い入れはそれぞれ違います。
親と同居しずっと地元で生きてきて、自分の母校に子どももみんな通っているという兄と、親とは相容れず高校卒業から都会に出たまま他所で結婚、ほぼ帰ってこない弟では地元への愛着も違うでしょう。
またずっと親と同居して実際に入院や通院の世話、介護などを請け負ってきた兄弟と、一応金銭面では手助けをしていたけれど、実際の面倒はほとんど見ていないという兄弟でも、気持ちの持ちようは変わってきます。
同じ親、同じ家育ちでも、成長しながらさまざまな社会に触れて、違った伴侶と異なる経済状況で生活していれば、兄弟であっても価値観が変わることは当然と言えるでしょう。
・我が家がずっと介護も看取りもしたのだから、我が家は多くもらって当然だ
・兄は高年収だが私は経済的に困難なので、親に少々助けてもらいたい
・孫がいるのは我が家だけなのだから、その分上乗せがあるべき
・高齢の母がいるのだから、遺産は母の余生の生活のために母に譲るべき
・高齢の母には年金も入るのだから、遺産は子どもの自分にも分けてほしい
・古いけれど思い出深い家(土地含む)だからそのまま残したい
・古い家など売却して、そのお金を兄弟で分けた方が建設的だ
このように、さまざまな意見が噴出するでしょう。みな間違っているわけではなく、個人の環境を考えれば当然の主張をしているだけなのです。
「間違ったことは言っていない、自分の意見は正しい」人ばかりだからこそ、真っ向からぶつかってしまい、トラブルになってしまうのでしょう。
【遺産分割協議書を作る】遺産分割でもめないためにできること・その1
遺産分割でもめないためにできることのひとつが、遺産分割協議書を作成することです。遺産分割協議書は、話し合いをスムーズにしてもめ事を減らすために役立ちます。
遺産分割協議書とは
【遺産分割協議書】とは、遺産相続が起きて相続人が複数いるとき、誰が、どの財産を、どれだけ相続するのかを決定し、決定事項を明記して、相続人全員が署名・捺印したものです。
遺産分割協議書は必ずしも作らなければならないわけではなく、作らなくても良い場合もあります。
しかし、相続人が複数いる場合は作っておいた方が安心です。遺産分割協議で決めたことを明記した証明書・契約書の役目を果たしてくれるからです。
遺産分割協議書の作り方
遺産分割協議書は、自分達で作成することも可能です。書式は決まっているわけではありません。国税庁や相続に詳しい弁護士事務所のサイトなどでひな形をダウンロードできます。
【出典】国税庁:遺産分割協議書のひな形(36ページ目)
遺産分割協議書に必要な記入事項をピックアップしてみました。
・被相続人(故人)が亡くなった日にち
・被相続人(故人)が亡くなった時の住所
・それぞれの相続人が相続することになった財産の目録
・財産が不動産だった場合はその土地の住所
・「相続人全員で分割協議を行った結果、各相続人がそれぞれ記載のとおり遺産を分割し、取得することに同意した」といった文言と相続人全員の署名と住所・捺印
これらを記入します。
遺産分割協議書の代行者
遺産分割協議書は、専門家に代行して作ってもらうことも可能です。
・税理士
・弁護士
・司法書士
・行政書士
・信託銀行
※相続は誰に相談するべき?税理士の無料相談を賢く使おう!
相続税申告が必要な場合で、遺産分割協議の際に遺産の総額、特に不動産の評価額などがわからず、そのために話し合いが進まない場合などは、税理士への相談がおすすめです。
遺産分割協議ではどんなことでもめやすいか
実際に遺産分割協議を始める前に、どんなことでもめやすいのかを事前に知っておくと良いでしょう。
【相続人が全員集まらない】
仲が悪くて顔を合わせたくない兄弟同士がいる場合や、遠方に住んでいるので参加が難しい人がいる場合など、相続人が全員集まってくれないこともあります。
解決策
・電話で参加してもらう
・電話でも良いので参加してもらえないと、遺産分割ができず遺産が手に入らないことを伝える
・それでも無視を続ける相続人がいる場合は調停を申し立てる
【のちのち言った・言わないで喧嘩になる】
話し合いでよくあるケースが、「言った・言わないで喧嘩になる」というものです。解決策
・書記の役目の人にメモをお願いし、全員で共有するか、録音しておく
※言った・言わない喧嘩の予防策として、遺産分割協議書があるとも言えます。
【決まった後で「やっぱりこうしたい」という相続人が出てくる】
これもよくあるケースです。遺産分割協議書作成後は、基本やり直しはできない、と考えておきましょう。しかし他の相続人から脅迫や恫喝を受けて、仕方なく同意した場合などは取り消すことができます。
解決策
・基本的にやり直しはきかないことを、最初に相続人全員に理解してもらう
・最初から弁護士などに入ってもらい、相続する財産の価値をきちんと説明してもらう
・相続人全員が同意することで、全内容をいったん解除することは可能
【被相続人に遺言書を作成してもらう】遺産分割でもめないためにできること・その2
親が高齢になると、周囲の子ども達は「そろそろ遺産のことを考えて欲しい」と思いますが、親にはなかなか言い出せませんよね。そこで被相続人に遺言書を書いてもらうためのコツをご紹介します。
遺言書は遺産分割で最優先される「故人の意思」
遺言書は、遺産分割や相続人決定の際、最優先されるものです。生前財産を所有していた故人の意思そのものが表明されているものだからです。
遺言書がある場合、基本的にはその内容の通りに遺産分割が行われます。そのため、生前から相続人の気持ちを配慮し、被相続人の気持ちを強く反映させた遺言書を作成しておくことで、実際に遺産相続が行われる際もスムーズに事が運ぶようになります。
円満な相続を目指すのであれば、できればすべての相続人に遺言書の内容を開示し、納得がいくまでみんなで話し合うことが必要でしょう。
遺言書を書いて欲しいとストレートに言う事は難しい
しかし、いくら親子の間でも「もしもの時のために遺言書を書いてくれ」とストレートに伝えることは難しいですよね。
親の性格や言い方によっては、「そんなに遺産が欲しいのか」と怒らせてしまう可能性もあります。
そこで、ストレートに遺言書を書いて欲しい、と言わずに、スマートに遺言書を書いてもらえる状況を演出しましょう。
終活・エンディングノートの作成を勧める
最近は終活が活発に行われ、エンディングノートの作成も推奨されています。親と一緒にそういった内容の特集番組などを見てみましょう。
エンディングノートは、自分史を編纂する部分があり、親が自分の人生や育児を振り返る、かけがえのないひと時を与えてくれるものです。
その中に預貯金や不動産などの資産を記入するページがあるため、そこもきちんと記入してもらい、親の財産の全貌を把握しましょう。
またエンディングノートには【自筆遺言書キット】がついているものもあります。書き方や開封の作法もついているので、そういったノートを買うことで、遺言書作成に前向きになってもらいましょう。
親が遺産相続をしたときの苦労話を聞く
高齢の方は、自分の苦労話を若い人が聞いてくれると大変喜びます。そこで、親が祖父母の遺産を相続したときの苦労話を積極的に聞いてみましょう。
「骨肉の争いになった」「兄弟の誰々のせいで大損をした」といった話が出たら、チャンスです。
「うちはそんなことにならないように、お父さんやお母さんが望む形で財産が分割されるように今から希望を言っておいてよ」と誘ってみましょう。
そこから、エンディングノートなどを活用して父母の希望をメモしていき、「どうせなら、必ず実行されるように遺言書にしておこう」と遺言書をまとめてもらいましょう。
兄弟間でじっくり話し合ってから、全員で親にお願いする
遺言書や遺産分割の話は、兄弟の中の誰か1人が率先して話を進めてしまうと、他の兄弟から不満が噴出する可能性があります。
それでは本末転倒ですよね。そこで、親に話をする前に、兄弟間で今後の親の暮らしや介護、どちらかが亡くなった後の引き取り先、老人ホーム等利用の有無など、きちんと話し合い、ある程度の方向性を決めておきたいですね。
相続開始から10か月間の相続税申告期限までに遺産分割協議がまとまらない場合
これまでにさまざまな方法をご紹介してきましたが、突然被相続人が亡くなってしまったり、相続人同士にほとんど交流がなかったりする場合など、遺産分割協議がどうしてもまとまらないこともあります。
遺産分割協議の期限は、相続開始から10か月です。10か月以内に、相続税の申告と、納税を行わなければなりません。
葬儀や法事などの行事や、納税に関する手続きを考えると、実際に使える時間は9か月あるかどうか、というところでしょう。
遺産分割協議が10か月以内にまとまらなくても法的な罰則はありませんが、税額控除などが受けられない場合があります。また不動産などでの物納も許可されなくなります。
どうしても10か月間に話し合いがまとまらない場合の対策をご紹介します。
国税庁:【申告期限後3年以内の分割見込み書】のダウンロード
遺産分割協議はなるべく早めに!できればみんなが元気なうちに話し合おう
遺産分割における骨肉の争いは、他人事ではありません。実に年間に起きている遺産相続
に関するトラブルや事件の7割は、ごく一般的な家庭で起きているのです。
そこで、「我が家だけは大丈夫」と思わず「我が家も直面する問題」として、親が元気でしっかりしているうちから対策を考えておくことが重要です。
できれば兄弟間でもそういった話題を共有し、協力しながら親にエンディングノートや遺言書を作成してもらいましょう。
親が亡くなった後も、兄弟が仲良く付き合い、たまには集まり親を偲ぶことは、きっと大きな親孝行のはずです。
「相続の話なんて親に何かあってからで十分、我が家では争いなんて起きない」と考えず、できるだけみんな仲良く元気で集まれるうちに、少しずつ話し合っておきましょう。