お役立ちコラム

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相続税申告

公開日:2019/04/08 更新日:2023/03/03

相続財産の把握・財産評価の気になるポイント

相続人となって不動産などの財産を相続する際、心配なのが【相続税】の問題ではないでしょうか。まず、相続財産の把握や、相続財産の評価など、相続税に関して気になるポイントを整理してみましょう。

どんなものが相続財産となるの?

自分の支払うべき相続税を計算して知るためには、まず自分が相続すべき財産がどれくらいになるのかを知らなければなりません。相続財産の計算方法についてまとめてみましょう。
 

相続財産は、亡くなった人が遺した権利・義務のすべてです。権利というと有益なイメージがありますが、義務というとちょっとマイナスのイメージがあるのではないでしょうか。

実際に、相続財産はプラスの財産だけに限りません。マイナスの財産も存在します。
 

プラスの財産

・現金・預貯金・有価証券・売掛金・貸付金・未収入地代・家賃
・宅地・家屋敷・農地・店舗・貸地
・借地権・地上権・定期借地権・小切手・株券・国債・社債
・自動車・家財やインテリア・骨董品・宝石や貴金属
・株式・ゴルフ会員権・著作権・特許権
etc..
 

マイナスの財産

・借入金・買掛金・手形債務・支払い債務
・未払い所得税・未払い住民税・未払い固定資産税
・未払い料金・未払い利息・未払い医療費
・預かり敷金・保証金
etc..
 

現金や預貯金などの評価

現金や預貯金は、故人が亡くなった日の残高が相続対象になります。通帳記帳をすると、亡くなった日の残高が出るので、その額が相続財産です。
現金がタンスや仏壇の引き出しから出てきた、ということもよくあります。いわゆるヘソクリですが、それらも現金申告の対象となります。
また故人から生前に頼まれて預貯金を引き出し、病院の支払いや日用品の買い物などに使用した場合は、レシートなどを保管しておき、残高は現金申告します。
 
相続を予見して、亡くなる直前に葬儀費用として現金を引き出すケースが多く見られますが、引き出されたお金は現金の財産として扱われます。

不動産【土地】の評価

不動産の中でも、土地は、路線価という評価基準を当てはめて評価します。路線価は、国税庁のホームページに掲載されています。
【出典】国税庁:路線価
 
路線価で分からない地域に関しては市区町村の評価倍率表で分かるようになっています。
しかし土地は正方形できれいに区切られているわけではなく、間口や奥行き、近年増加傾向にある各地の災害などによっても大きく評価が分かれます。
詳しいことは、相続に強い税理士に相談し、計算してもらうと間違いが起こりにくくなり、面倒な手続きも必要ありません。

不動産【建物】の評価

建物に関しては、固定資産税評価額で評価することができます。毎年固定資産税の納付書が4月ごろに各家庭に届きます。そちらに、建物の評価に関する明細なども記載されています。
相続があるとは思わず紛失した場合や、自分はもう独立した後の実家のことで分からない、という場合は、市区町村役場・都税事務所などで再確認が可能です。

株式

金融商品取引所に上場されている株式の場合は、次の4つのうちもっとも低い価額が評価額になります。
 
・故人が亡くなった日の最終価格
・故人が亡くなった月の毎日の最終価格の平均額
・故人が亡くなった月の前月の最終価格の平均額
・故人が亡くなった月の前々月の最終価格の平均額
この額に修正が入って、評価が決まります。
 
取引相場の無い株式は、相続に強い税理士に相談して計算してもらいましょう。初心者では計算が難しく、煩雑な計算になります。

その他のプラスの財産の計算方法

生命保険

「みなし相続財産」となります。のちほど最終項の【みなし相続財産】で説明します。
 

他人名義の財産

いわゆる名義預金やへそくりとして、実質的に故人の財産になっている場合は、相続財産の中に含まれます。気を付けたいのは、配偶者の預金残高に関して相続申告後に税務調査で引っかかる場合があります。そのため、相続に強い税理士に判断を仰いだ方が安心です。
 

家財やインテリア

自宅の規模などを参考に、家財一式で評価額を出します。
 

骨董品

価値があると分かっているものは鑑定書を、価値があるのか分からないものに関しては骨董商などにまとめて鑑定してもらい評価額を出します。

マイナスの財産を整理する

プラスの財産の概算が出たら、今度はマイナスの財産を明確に、財産の全体像が見えるようにしていきます。
請求書・領収書・契約書などの書類は、マイナスの財産を表す大切な書類になるので、きちんと整理をしておきます。
 

故人と相続人のどちらに帰属する支払いか迷う時

たとえば、法事に関する費用など、「それは故人のマイナス財産なの?それとも相続人が支払うべき費用なの?」と分からなくなるものがたくさん出てきます。
そういった場合は、書類をゴチャゴチャにしてしまう前に、やはり相続に強い税理士に相談して、きちんと仕分けてもらいましょう。
 

葬儀費用

葬儀は故人のために行うものと思われていますが、葬儀費用は相続人が支払うべきものと分類されます。つまり、葬儀費用は相続人の債務なのです。
ただし、葬儀は相続と切り離せない儀式です。そのため、人々の感情に寄り添う格好で控除が認められています。

プラスの財産でマイナスの財産を清算した額が相続財産

「プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた額」が相続財産です。とはいえ、プラスの財産をすべて売却して現金にできるわけではありません。
また、マイナスの財産は、先ほどもご紹介したように故人に帰属するもの(財産)か、相続人に帰属するもの(相続人が個人で支払うべきもの)か選別することは簡単ではありません。
プラスの財産とマイナスの財産をプロに算出してもらい、最終的に残る財産はどれくらいなのかを把握します。

課税財産の計算

プラスの財産とマイナスの財産、大枠把握できたら、課税財産を計算してみましょう。
 

課税財産と非課税財産

プラスの財産とマイナスの財産の価値をきちんと算出して、相続人に分配されるべき財産を見てみましょう。
プラスの財産が残れば、それらを課税対象になる財産と、非課税財産とに分別してみます。
遺産はすべてが課税対象になるわけではなく、実は非課税になるものもあります。課税財産と非課税財産について、それぞれ見ていきましょう。

課税財産とは課税対象になる財産

課税財産とは、相続税の課税対象となる財産のことです。このコラムの最初にご紹介した、相続税基礎控除の計算方法を、もう一度見てみましょう。
 相続税基礎控除の計算方法
3000万円+(600万円×法定相続人の人数)

 
この計算で算出された金額を、遺された財産の額から差し引きます。そこでさらに残ったものが、相続税の課税対象となります。
もともと地方にお住まいで、法定相続人もたくさんいる場合などは、相続税基礎控除内で収まってしまい、相続税がかからない場合もあります。
しかし、元は1億円だった相続税基礎控除が、民法改変で3000万円+(600万円×法定相続人の人数)に減らされたため、相続税がかかるケースも増えています。

非課税財産の計算

それでは、次に非課税財産について計算してみましょう。そもそも、非課税財産とはどんなものなのでしょうか。
 

非課税財産

【墓地や仏具など】
墓地・墓石・仏壇・仏像・祭壇など、宗教や祭祀にまつわるもので、日ごろから礼拝に使用しているもの
 
【香典や花輪代など】
香典・花輪代・弔慰金など。弔慰金については、業務中の死亡の際は普通給与3年分、それ以外のケースは6か月分
 
【寄付】
国や地方公共団体・特定の公益法人などに寄付した財産
 
【その他】
生命保険金、死亡退職金のうち、一定額
 
さらに、葬儀費用は債務などのマイナスの財産と同様、プラスの財産から差し引いて計算することになっているので、これも特殊な出費になります。

課税財産・非課税財産を計算してみましょう

それでは、両親と独立した成人の子ども3人がいる家庭を想定してみましょう。今回、父が他界し、財産を法定相続人である、母と子ども3人の4人で分けたということにします。
父の財産は、預貯金や土地・家などから、債務や未払いの治療費などを差し引き、合わせて5500万円になりました。
さらに、両親が先々を見越して購入していた墓地と墓石、今は先祖代々の位牌が収まっている仏壇が500万円です。
葬式代は100万円かかりました。その他細かなものは無いと考えます。また実際にはさまざまな控除などがありますが、その点も今回は考えないものとします。
それでは計算してみましょう。
 

全財産

・5500万円(プラスの財産-マイナスの財産で残った財産分の価値)
・墓地など500万円
・葬式代100万円
 

相続税基礎控除の計算

3000万円+(600万円×相続人4人)=5400万円
 

課税対象になる財産の算出

・墓地など500万円…もともと非課税なので排除
・葬式代100万円…財産から差し引く(債務控除)
・全財産…5400万円になる
 
ここで、算出した相続税基礎控除額を差し引きます。
 全財産5400万円 ー 基礎控除額5400万円 = 0

 
このケースにおいては、相続税がかかる財産は無い、よって、相続税を支払う必要はないということになりました。
実際は、現在の家屋敷に母が継続して住むことによる控除など、細かな計算がたくさん必要となるので、こんなに単純には計算できないのですが、課税財産・非課税財産の計算システムについては分かっていただけたのではないでしょうか。
 
家庭が抱える事情は千差万別です。それに合わせてさまざまな控除などを受けることができることもたくさんあります。それらをうまく活用し、損をせず、親族間に争いを起こさないためにも、相続に強い税理士に財産の処理や計算を任せることは非常に有意義なのです。

3年以内の贈与は相続財産に加算されます

ここまでで「自分にはどうやら相続税を支払う義務はなさそうだ」と安心した方も多いかもしれません。でも少し思い出していただきたいことがあります。
ここ3年間の間に、故人から財産の贈与を受けたことはありませんでしたか?もし故人が亡くなる前3年以内に財産贈与が合った場合は、相続税の対象になる可能性が出てきます。
故人が亡くなった日からさかのぼって3年前の日から、亡くなった日までの間に、贈与を受けた財産がある場合、その財産も相続財産に加算されるのです。
 
贈与を受けた際、贈与税を支払っていたとしても、相続財産に加算されます。かなりショックかと思いますが、その額を加算して再度計算しなおしてみましょう。

また加算されない財産もあります。配偶者控除や住宅取得等資金、教育資金、結婚・子育て資金などの中で贈与税の申告書を提出し、非課税適用を受けているものに関しては、加算しなくても良い場合があります。

こちらも加算されるか免除されるかで大きく税金が変わってくる重要事項です。プロに相談し、加算されるかどうかをしっかり調べましょう。

みなし相続財産

相続税に関して手続きを行っていくと、「みなし相続財産」という言葉に出会います。先ほども、生命保険に関する項目で、みなし相続財産が登場しましたね。
みなし相続財産にあたるものは、以下の財産です。
 
・死亡退職金
・死亡保険金
・生命保険契約に関する権利
・納税猶予に係る贈与を受けた非上場株式・農地
etc..
 
これらは、死亡した本人が受け取ったものではないので、正確には民法上の財産とは言えません。しかし故人が死亡したことによって相続の一部になるため、みなし相続財産と呼ばれています。
みなし相続財産も基本的には相続税の課税対象ですが、独自の非課税枠があります。
 

死亡退職金のうち、【500万円×法定相続人の人数】を引いた金額

死亡退職金…1500万円
法定相続人…3人
という場合は、
1500万円-(500万円×3人)=0 となり、課税対象額は無くなります。
 

生命保険金のうち、【500万円かける法定相続人の人数】を引いた金額

死亡退職金と同じ計算方法になります。
 
その他にも、みなし相続財産が存在します。みなし相続財産となるものを一覧に挙げてみましょう。
 

信託受益権

遺言で信託がされた際、信託を委託した人以外の相続人に利益があった場合
 

債務の免除

遺言で相続人が借金を代わりに遺産で払ってもらった場合、その金額
 

低額の譲り受け

遺言で、相続人が実際の価値よりかなり低い価格で財産を取得したときの差額
 

定期金

故人が個人年金などを支払っていた時、年金の受取人が相続人などの場合の受取年金

相続財産の把握と評価、さまざまな控除は相続に強い税理士と相談しましょう

相続財産の全体像を把握し、現在の評価も算出することは相続に関する知識のない方にとって非常に煩雑で難しいものです。
今住んでいる人がいる家屋の価値や、デコボコした土地の値段、日々変化する株券の価値など、「どうやって計算するの?」と悩んでしまうものも多いですよね。
しかし、まずは相続財産の全体像を把握しないことには、そこから先の相続に関する話し合いが進みません。
また実際はさまざまな控除が受けられるのに、知らずに損をしてしまうリスクもあります。そういったことを回避するためにも、まずは財産の計算から、相続に強い税理士に相談してみましょう。

本記事の執筆者

税理士紹介エージェント 編集部

2012年から10年以上、税理士紹介エージェント を運営し、最適な税理士をご紹介する中で お客様からよく寄せられる疑問や税務に関するコツ、最新の税制改正情報など、幅広く税に関するお役立ち情報を提供しています。

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