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不動産の相続
公開日:2022/09/01 更新日:2023/05/26
相続した不動産の評価額を下げるメリットや方法について網羅的に解説
相続税において、不動産評価は納税額に直結する重要なポイントです。
この記事では不動産の評価額を抑えるメリットや評価額を減額出来るケースなどについて詳しく解説しています。
相続税の不動産評価にはさまざまな評価方法や減額要件があり複雑になっていますので、この記事を参考に理解を深め、適正な相続税評価につなげてください。
不動産評価とは
相続税の不動産評価とは、相続税の納税額を計算する際の資産評価額を算出することを指します。
国税庁から発表されている「令和2年分 相続税の申告事績の概要」によると、令和2年度の相続税申告の相続財産の金額について、土地は約6兆円、家屋は約9,300億円です。
相続財産全体の金額は約17兆円で、土地・家屋が占める割合は約40%となっており、この評価額を算定する不動産評価は、相続税申告において、非常に重要な位置づけにあります。
不動産評価は、さまざまな要件を踏まえ計算されるため、税務署との間でも見解が相違しやすくなっています。
内容によっては、不動産評価によって納付額が大きく変わることもあるため、納税者も相続をするにあたって不動産評価がどういうものであるか把握しておく必要があるといえるでしょう。
不動産評価の方法やポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
相続する不動産の評価額を抑えるメリット
相続する不動産の評価額を抑えることで、相続税の節税が可能となる点は大きなメリットです。
相続税における不動産評価は、基本的に時価の60〜70%となります。
例えば、現金1億円を資産として所有している場合、評価額はそのまま1億円となります。一方、同じ1億円の不動産物件であれば、固定資産の評価額は、自己使用の場合で時価の約7割程度、賃貸用の建物の場合は固定資産税評価額の約7割程度の評価となります。
つまり、1億円の現金と比べて、7,000万円の資産として相続税が計算されるため、現金に比べて大きく節税することが可能です。
不動産評価に関連する各種資料の準備や評価額計算などは負担が大きいものですが、それ以上の大きなメリットのあるものと言えるでしょう。
不動産の相続税評価額の計算方法
不動産の相続税評価額の計算方法は、土地・建物の大きく2つに分けられ、それぞれ用途などによって、計算方法が異なります。
建物の評価
建物の評価額は固定資産税評価額が基礎となり、居住用、賃貸用、借家、分譲マンションなど、所有の目的によって、借地権割合などの補正計算を行います。
土地の評価
土地の評価額は「路線価方式」若しくは「倍率方式」にて評価します。
路線価方式と倍率方式の違いや、建物および土地の評価額の計算方法については、以下の記事にて詳しく解説しています。
不動産の評価額を軽減できるケース
では具体的に不動産の評価額を軽減できるケースについて、見ていきましょう。
賃貸物件を建てている場合
所有している土地に賃貸物件を建てている場合、借地権割合に応じて土地・建物の評価額が減額されます。
土地を更地のまま所有しているとそのまま土地の評価額に応じて相続税がかかってしまいます。ですので、土地に賃貸物件を建てた方が納税額を抑えることができるでしょう。
また、賃貸物件を建てる資金についても現金のまま所有していれば資産額がそのまま評価額になるため、賃貸物件を建築して評価額を下げることで、追加で節税効果を期待できます。
将来的には家賃収入も見込めるため、積極的に検討しても良いでしょう。
参考:国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」
国税庁「No.4602 土地家屋の評価(アパート等の貸家の評価)」
空き家を貸し出している場合
空き家を貸し出している場合も評価額を軽減することができます。
土地・建物を更地、空き家のまま放置していると評価額は固定資産税評価額のままですが、賃貸していることにより評価額は時価よりも下がります。
また、空き家として放置していることでどんどん家も傷んでしまいます。リフォームなどである程度住みやすいようにして、貸し出すのもおすすめです。
築年数を重ねた家の場合、更地にしたほうが売りやすいと考える人も多いですが、更地にするのにもお金がかかり、相続税も高くなります。
リフォームであれば新築ほどの費用も必要なく、家賃収入も期待できるため、検討してみても良いでしょう。
参考:国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」
国税庁「No.4602 土地家屋の評価(アパート等の貸家の評価)」
小規模宅地等の特例を利用する場合
小規模宅地等の特例が利用できれば、評価額を軽減することができます。
小規模宅地等の特例とは、居住用の宅地や事業用宅地などの相続について、一定の要件に該当する相続人が相続した場合、相続税の評価額を50%または80%減額できる特例です。
適用要件等の詳細については、こちらの記事にまとめていますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
貸付の駐車場として利用していた場合
貸付の駐車場として利用していた場合も、評価を減額出来る可能性があります。
これは、先程挙げた小規模宅地等の特例に該当するためです。駐車場としてしっかりと運営していた場合であれば貸付事業用宅地等に分類されるため、小規模宅地等の特例が適用されるのです。
ただし、ロープを張っているだけ、車止めの石が置いてあるだけなどでは貸付事業用であるとは認められず特例適用できません。
コンクリートや砂利を使って舗装している、構造物があるなど事業に供することが明らかになっている場合に適用されるため、注意しましょう。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
奥行価格補正を使用する場合
奥行価格補正とは、同じ面積であっても極端に奥行きが短かったり長かったりした場合に、土地活用のしやすさに合わせて評価額を下げる制度です。
相続する土地の奥行きが10m未満若しくは24m以上の場合は、奥行価格補正を使用することで評価額を減額することができます。
奥行価格補正での評価額の計算方法は以下のようになります。
土地評価額 = 路線価 ✕ 奥行価格補正率 ✕ 土地面積
奥行価格補正率は国税庁ホームページの「奥行価格補正率表」にて公表されています。住宅地区分と奥行きの長さ毎に補正率が設定されているため、確認してみましょう。
参考:国税庁「No.4604 路線価方式による宅地の評価」
不整形地補正を使用する場合
不整形地補正とは、いびつな土地形状となっている土地はきれいな長方形の土地とくらべて使いにくいとみなし、評価額を下げる制度です。
相続税評価においても「不整形地補正率表」を使用し、評価を減額します。不整形地補正は、最大で補正率が40%に及ぶ減額割合の高い補正制度です。
不整形地補正については計算がやや複雑なため、該当しそうな土地を所有している場合は、制度の適用可否や評価計算などについて、不動産鑑定士や不動産に強い税理士等の専門家(不動産鑑定士による評価については、後述します)に相談することをおすすめします。
参考:国税庁「No.4604 路線価方式による宅地の評価(不整形な宅地の評価)」
土地の一部に私道がある場合
私道とは、個人や法人が所有する道路のことです。所有している土地に私道がある場合、私道の使われ方によって評価を減額することができます。
私道に関する評価は特定の人のみが通行する場合と、不特定多数の人が使う場合で評価額が異なります。まれに住宅街で狭い路地などに「通り抜け厳禁」とある道は、この特定の人のみが使用する私道に該当することが多いです。
不特定多数が使う場合は評価額が0円となり、相続税評価の対象とはなりません。一方で、特定の人が使う場合は、宅地の30%の評価額となります。
参考:国税庁「No.4622 私道の評価」
借地として貸している場合
借地として貸している場合も評価の減額が可能です。
借地として貸している場合、借り手側が持つ土地に及ぶ権利を借地権といいます。この借地権は評価額に反映され、借り手側の権利分を減額します。
具体的な計算方法は以下です。
土地の評価額 ✕ (1 - 借地権割合)
借地権割合は国税庁が30〜90%の範囲で10%刻みで定めており、地域によって異なります。基本的に主要駅の周辺や繁華街など土地の利用価値が高い地域は借地権割合が高くなります。
借地権割合については、路線価図の上部に表示されています。
参考:国税庁「No.4613 貸宅地の評価」
空中に高圧電線が通っている場合
空中に高圧電線が通っている場合も評価を減額できます。
高圧電線が通っている土地は、家屋の高さ制限など利用に制限がかかるため、制限の内容によって以下の通り減額評価が可能です。
- 家屋の建築が全くできない場合は、50%又は借地権割合のいずれか高い割合
- 家屋の構造、用途等に制限をうける場合は30%
参考:国税庁「区分地上権に準ずる地役権の目的となっている宅地の評価」
墓の近くや線路沿いの場合
墓地や斎場などに隣接している土地は「忌み地等」と呼ばれ、評価の減額が認められる場合があります。
また線路沿いの土地についても、騒音や振動などがあることを理由に減額できることがあります。
いずれも、すべての土地が減額対象となるわけではありませんので、減額の要件に該当するかは専門家に確認するようにしましょう。
参考:国税庁「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」
市街化区域に田・畑・山林・原野がある場合
市街化区域に田・畑・山林・原野がある場合も評価を減額出来る可能性があります。
市街化区域とは、市街地及び市街化が進められる地域のことを言います。この地域にある田・畑・山林・原野は、宅地化する場合に整地などが必要となるため、かかる費用分について減額されます。
市街化区域にある田・畑・山林・原野の評価額算出については、こちらの記事で詳しく解説しています。
参考:国税庁「No.4623 農地の評価」
地積規模の大きな宅地
地積規模の大きな宅地を所有している場合には、評価額を減額することができます。
地積規模の大きな宅地とは三大都市圏における500平方メートル以上、それ以外の地域においては1,000平方メートル以上の宅地のことを指します。
これらの広大な土地の場合、宅地を建てる際に新たに道路や公園などを作る必要が出てくることも多く、財産として利益を得られない可能性もあるため、一定の割合を減額できることになっています。
地積規模の大きな宅地に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。
参考:国税庁「No.4609 地積規模の大きな宅地の評価」
不動産管理会社を設立する場合
相続発生後の実施は難しい手段ですが、複数の不動産を所有している場合、生前に不動産管理会社を設立することで評価額を軽減することができます。
複数の不動産を保有していると、個人で相続した場合の相続税の負担はかなり大きなものになります。
また相続税の納付期限は10ヶ月しか無く、例え不動産が売却できるものであったとしても、全て期限内に売却が成立するかどうかはわかりません。相続にかかる遺産分割などもスムーズに進まないことも考えられます。
これらの問題を回避する方法として、生前に不動産管理会社を設立し、不動産の所有者を法人に移転させ、その法人の株式を相続する方法があります。
不動産を法人に移転させることで、不動産は法人所有となり、相続の対象から外れるため、相続税の節税に加えて、さまざまなトラブルが回避できるというメリットも生まれます。
ただし、不動産管理会社の設立・運営をする場合は、相続税回避として税務署からのチェックが厳しくなるケースもあるため、事前に税理士などの専門家に相談して行うことをおすすめします。
その他の評価額を軽減できるケース
ここまでご紹介した以外にも、例えば以下のようなケースで評価額を減額できる可能性があります。
- 道路に面していない、突き当り道路に面している土地
- 崖地や地面が傾斜している土地
- 道路と地面の間に高低差がある土地
その他にもさまざまなものがあるため、詳しくは不動産評価の実績が多い税理士にぜひご相談ください。
参考:国税庁「No.4620 無道路地の評価」
参考:国税庁「がけ地等を有する宅地の評価」
参考:国税庁「No.4617 利用価値が著しく低下している宅地の評価」
不動産の評価額軽減の申告方法
次に不動産の評価減軽減の申告方法について解説します。
当該土地が路線価地域の場合、不動産の評価額の軽減を受けるためには、相続税の申告の際に「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」を、課税明細書又は登記事項証明書、測量図と合わせて添付します。
また倍率地域の場合は、「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書」ではなく、相続税申告書の第11表を使用します。
また、小規模宅地等の特例の適用を受ける場合には、下記の通り様々な書類を準備する必要があります。
- 遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し
- 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)
- 申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割できない場合)
- 特定住宅用宅地等、特定事業用宅地等など、適用する要件に合わせて規定されている書類
この通り、土地の評価を減額するためにはさまざまな書類を準備したり、作成する必要があります。
税金の納付後でも相続税還付の手続きは可能
相続税の申告時に評価の減額の制度を知らずに納付してしまっているケースでも、還付の手続きを行うことで、払いすぎた相続税の返済請求を行うことができます。
相続税還付の期限は、相続税の申告期限後5年までです。相続税の申告期限と合わせると、還付期限は被相続人が亡くなったことを知った翌日から5年10ヶ月後となります。
相続税の還付請求は、税務署に対して「更正の請求」を行うことで請求します。
必要となるのは「相続税申告書」と「修正申告書」です。修正申告書では、修正後の不動産の評価について正確な情報や根拠が求められます。
相続税評価には専門的な知識が必要となり、更正の請求ではより正確な根拠が求められるため、税理士などの専門家に依頼するのが一般的です。
不動産鑑定士に依頼すれば評価額を低くできる?
土地や不動産の評価といえば、不動産鑑定士を思い浮かべる方も多いですが、不動産鑑定士に依頼すれば評価額を低くすることはできるのでしょうか。
結論からいうと、不動産鑑定士に依頼しても相続税評価額が下がる可能性は低いです。これは一般的な土地の場合、路線価によって算定した価格よりも時価のほうが高いためです。
相続税評価で使用する路線価は、基本的に公示価格の8割を目安に設定されています。時価よりも低い基準で設定されているため、不動産鑑定士評価はそれより高くなる傾向にあります。
しかし、不整形地や高低差のある土地など、路線価評価上は土地評価の減額が見込まれていない特殊な土地だった場合、時価が路線価評価を下回る可能性があります。
このような特殊な土地であれば、不動産鑑定士に依頼することで評価額を低く出来る可能性があります。
不動産以外の相続財産の評価方法
ここまで不動産に関する相続財産の評価方法について記載しました。
不動産以外の相続財産の評価方法については、こちらの記事を参考にしてください。
適正な不動産評価で節税するなら税理士に相談がおすすめ
今回の記事では、相続した不動産の評価額を抑えることについて、そのメリットや減額方法などについて、詳しく解説しました。
不動産評価は、相続税の納付額が大きく変わる可能性があるため非常に重要です。
一方で、不動産評価にはさまざまな要件が作用するため、計算も複雑で非常に専門的な知識を要求されます。
もちろん自分で行うこともできますが、適用できる要件に気づかなかったり、計算にミスや漏れがあれば余計な相続税を払ってしまったり、税務調査で追徴課税となってしまう可能性もあります。
また、申告時に用意する書類や手続きも多く、知識のない一般の方が行うにはかなりの負担です。
不動産評価に詳しい税理士であれば、相続財産の内容から適切な評価方法を適用し、申告時に必要な書類の準備・作成、申告までトータルに支援してもらえます。
相続財産でお悩みであれば、ぜひ不動産評価に詳しい税理士に相談してみることをおすすめします。
当サービスでは、該当地域の不動産鑑定に強い税理士と数多く提携しており、無料で紹介可能です。ぜひ、当サービスにお気軽にご相談下さい。