成長企業の社長に聞く
~顧問税理士の価値~

インタビュー

2016/8/26

顧問税理士は経理面だけではなく多くの利益をもたらしてくれている

レベルの高い税理士はよく勉強しているし、経営コンサルティングもしてくれる。そして彼がもつ様々な知識や人脈が、間違いなく会社の成長を加速させてくれている。

株式会社揚羽 代表取締役社長湊 剛宏様

「僕の仕事は会社を軌道に乗せること」だからこそ税理士は会社設立当初から

飯原(税理士紹介エージェント 代表):
まず、今の会社の事業の概要を伺えますか?

湊社長(株式会社揚羽 代表取締役社長):
2001年8月に設立、現在16期目です。事業内容は、企業の人事部や広報部、マーケティング部等から、映像やWEBサイト、グラフィック等の企画を受注し、それらの制作を行っています。様々な企業の広報のお手伝いをする仕事をしています。現在、従業員は約90人です。取引企業は約700社。そう言うと多いように聞こえますが、自分の感覚としては「700社だけ?」という感覚です。何度もお仕事をいただく、いわゆるリピーター企業が多く、数自体はあまり増えないのですが…

飯原:
最初の顧問税理士との出会いを教えていただけますか?

湊社長:
最初に税理士をお願いしたのは、会社設立と同時です。税理士事務所に勤めていた親戚の子で、「よくわからないから見てよ」という感じでお願いしました。当時従業員は僕一人で、基本的に経費精算と経理回りの仕事をすべてお願いしていました。はっきり言えば、領収書をまるごと渡して、経費の精算をしてもらっていました。従業員が僕一人ということで、経費精算やその他経理関係の仕事をする時間を、例えば企画を考えたり、営業に回ったりする、「本業」に使いたかった。だから会社設立と同時に税理士をお願いしたのは大正解でした。

飯原:
今もその方が顧問税理士ですか?

湊社長:
いえ、今の方は3人目の顧問税理士です。設立から2,3年経ったとき、従業員が10人くらいになりました。その時に、もう少しビジネスの知識がある税理士にお願いしたいと考えました。最初の親戚の子も、一生懸命やってくれてはいたのですが、会社の規模も少しずつ大きくなってきて、少し物足りなく感じていました。例えば、「サービス業であれば、このぐらいの利益率が普通です」と言われたのですが、サービス業という一括りとしてしか会社を見ていなかった。当時は映像制作部門しかありませんでしたから、「映像制作会社であればどうなのか」ということを知りたかった。そのような知識が彼にはほとんどありませんでした。そこで知り合いの経営者の方に新たな税理士を紹介していただいたのです。2,3人紹介していただいた方の中から一番ビジネスの知識もありそうな方にお願いしました。

飯原:
その方が2人目ですね。では3人目の方は?

湊社長:
10年くらい前に、現在も弊社の顧問税理士をお願いしている方に出会いました。2人目の方は、ビジネスの知識などは豊富に持っていたのですが、経営アドバイスなどはあまりなかったですね。意思疎通もあまりうまくいかなかったです。それで問題も起きてしまって、3人目の現在の方にお願いしました。
現在の方は、2人目の方と同じようなことを言ってくれるのですが、丁寧に分かりやすく説明をして
くれます。非常に尊敬できる方で、とても信頼しています。

トラブルも経験~税理士との付き合いの中から見えてきた会社経営のカタチ

飯原:
会社の規模が大きくなるにつれて、税理士に期待することは変わってきていますか?

湊社長:
顧問税理士の方とは、1人目の方から現在まで、僕自身も月に1回はお会いしています。1人目の時は、まだ会社も小さかったですから、月に一度会って、その月に使用した領収書をまとめて渡して、主に経費清算をお願いするというような感じでしたが、現在は、毎月試算表の結果を見て、経営状況の変化に関してご指摘や経営アドバイスを頂いたりしています。

例えば試算表で数字がこういう風に下がっていますが何かありました?とか利益率がこれだけ上がりましたけど、何かありましたか?という感じで、数字を見て気がついたことを指摘してくれています。それに対してこちらからその説明を返すと、ではそこは継続してやっていきましょうとか、そこでちょっと注意してこういう風にやった方がいいですよといった経営アドバイスをもらったり、そんな感じでキャッチボールをします。

飯原:
毎月そうやってキャッチボールをしながら、決算が近づいてくると利益処分の話とかもされますか?

湊社長:
利益処分はしません。以前は節税にすごく意識があったのですが、今の税理士に変わってから、成長していきたいのなら、ちゃんと利益を出して適切に税金を納めて、きれいな経営を目指しましょうと言われて、考えが変わりましたね。

飯原:
今まで顧問税理士の方と何かトラブルになったようなことはありましたか?

湊社長:
2人目の方の時、当時の僕の経営の方針と違う経理の処理をされてしまい、大きな問題となりました。
当時は節税をしたかったのですが、税理士がそれに反対で、決算の時勝手に利益を出してしまった。税理士には節税をしたいという方針は伝えてあったのですが、僕が彼に全てを任せ過ぎてしまったことが原因だったと思います。

3人の税理士と付き合って見えてきた僕の“税理士観”

飯原:
逆に顧問税理士の方がいて良かった、こんな有益なことをしてくれた、ということはありますか?

湊社長:
弊社は映像制作、WEBサイト制作、そしてグラフィック、つまり印刷媒体制作が事業の主要3部門です。それぞれで利益率が違うのですが、一時期、グラフィック部門の売上が大きく伸びた時期がありました。しかしよく調べてみると利益が前年と変わらなかった。そのとき税理士が「なぜ利益が変わらないのか、何に原価が発生しているのかということをきちんと調べたほうがいいですね」と指摘してくれて、精査してみたら外注費が大きかったということがわかった。そこで、「外注費のマネージメントをしっかりしたほうが良いですよ」と言われ、外注費マネージメントプロジェクトというのを立ち上げ、例えば200万円で受注した映像制作の場合、カメラマンにはいくら払うのかとか、そのようなルールを作って、原価の管理ができるようになりました。それは非常に助かりました。
あの時そういう指摘をしてくれていなかったら、事業の成長スピードはもっと落ちていたかもしれないと思っています。
現在も会社全体のPLだけでなく、事業部門別のPLも細かく見ていただいていて、とても感謝しています。

また、これも現在の顧問税理士の方が行ってくれたことなのですが、弊社の経理の基本的な体制を整備してくれたことです。当時、弊社の経理担当者は、元営業を行っていた社員で、経理に関しては素人だった。それを一から育てて一人前の経理マンにしてくれました。

飯原:
経営者にとって、良い税理士あるいは悪い税理士とはどんな税理士か、お考えをお聞かせください。

湊社長:
経理に関することだけではなく、それ以外の経営に関しても経営アドバイスしてくれるかどうかですね。その経営アドバイスのレベルが高いかどうか。レベルの高い税理士でも低い税理士でも月間の報酬は2、3万しか変わらないと思います。例えばあまり経営アドバイスをくれない3万の税理士と的確な経営アドバイスをしてくれる5万の税理士がいたとして、その差額は年間で24万円じゃないですか。だとするとたとえ5万の税理士を頼んだとしても、その方のアドバイスでその報酬の差以上の利益を生んでくれます。これを経営コンサルタントに頼んだら、こんな金額では引き受けてもらえないですよね。そういう、ちょっとした経営コンサルタント的な仕事もしてくれる税理士であれば、多少費用はかかっても良い税理士だと思います。
逆に経営方針や約束を守ってくれない税理士は悪い税理士でしょう。経営者の決定に従ってくれなければ会社の経営はできません。
あと勉強をしていない税理士も悪い税理士だと思います。経営者も会社の成長に合わせて成長していきます。税理士も経営者の経営感覚に合わせて知識を増やしていく方が良いですね。

税理士とともに会社はステップアップしていく!だから…

飯原:
今後の御社の成長に向けて、税理士の方に今後期待していることはどのようなことですか?

湊社長:
弊社が進んでいくステージとともに成長して、転んでしまう前に助けてくれる経営アドバイスして欲しいと思っています。僕自身も勉強していますが、現在の顧問税理士の方も非常に勉強熱心なので、ともに成長していき、より高いレベルの経営アドバイスをしてくださることを期待しています。あと個人的には、非常に優しくて紳士的な方なので、もう少し厳しくご指導していただければとも思っています。「これはだめ。もっとこうしなければ」というようなことを厳しく言っていただきたいですね。

飯原:
最後に、まだ顧問税理士さんを持たれていない経営者の方や、税理士を本当の意味で活用しきれていない経営者に対して、アドバイスやメッセージをいただけますか?

湊社長:
まず、自分の時間を税務業務に使うことは、経営者にとって非常にもったいないと思います。税理士だったら1時間で出来ることが、自らやろうとすると1日や2日はかかってしまう。やはり「餅は餅屋」ではありませんが、経営者は会社の経営に集中して、そちらに集中するべきだと思います。特に会社を立ち上げたばかりの時は営業等に非常に忙しいですし、本業以外のことは、アウトソーシングにできることはそうするべきだと思います。
最初は丸投げできるような税理士をお願いした方がいいと思います。少し会社の規模が大きくなってきたら、次は経営の指導をしてくれる人をみつけた方が良いように思います。経営者の世界がひろがるとともに、他の経営者とも繋がりができます。他の経営者に経営指導をしてくれる税理士を紹介してもらうこともできていきます。最終的には、経営に関してアドバイスをしてくれる経営コンサルタント的な税理士が、非常に有効だと思います。

そういう税理士の方はまた、レベルの高い方々との繋がりも持っています。ですから銀行や証券会社、そしてクライアントさんの紹介をしてくれたりもします。弊社でも、顧問税理士の方に紹介していただいた銀行からとても良い条件で融資を受けられたことがありました。重要な取引先の紹介にも一役買ってくれ、会社の成長にはなくてはならない存在に、顧問税理士の方にはなってもらっています。

飯原:
顧問税理士を持つことの大切さや有効性など、湊社長のご経験を元に、非常に分かりやすくお話していただき、ありがとうございました。

~取材を終えて~

16年間の歴史の中で、税理士の方との関係性や求めていること、そして会社や湊社長ご自身の成長の経緯を分かりやすくお話頂きました。

1人目の税理士の時には、営業する時間をとにかく確保するために経理業務をとにかく丸ごと渡せること、
2人目の税理士の時には、経営やビジネスの知識をきちんと持っていて、経営の話がきちんと通じること、
3人目の現在の税理士には、知識だけではなく具体的なアドバイスや指摘をしてくれることを期待されているようでした。

「きちんと節税するように」という指示が守られなかったため、湊社長が激怒されたことが2人目の税理士の方を解約する原因の1つになったようですが、現在では「成長したいのであれば節税せずにきちんと利益を出し、納税するように」という現在の税理士の方のアドバイスを理解・納得され、心からの信頼関係を顧問税理士と構築されているように感じました。

普段は温厚な笑顔の湊社長ですが、経営や数字へのこだわりのお話になると眼光鋭く、厳しく強い表情をされるのが印象的でした。
湊社長、お忙しいところご協力下さりありがとうございました。

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